研究概要 |
本研究では,大腸菌や糸状菌などの微生物で一般的に用いられるコンプリメンテーション法を用いてササゲ(Vigna unguiculata L.)の病原ウイルス(キュウリモザイクウイルス黄斑系統;CMV-Y)に対する抵抗性遺伝子を単離することを目的とした.その予備的試験として,ササゲ品種黒種三尺の持つ抵抗性遺伝子とCMV-Yの持つ非病原性遺伝子とが同じ植物中で発現した際に,その細胞中で抵抗性反応,すなわち細胞の壊死反応が生じるかどうか明らかにするため,アラビドプシスの熱ショックプロモーターHSP18.2Proの下流にCMV-YのRNA2の全長を連結した組換え体を植物形質転換ベクターpBI101に挿入し,ササゲにリ-フディスク法により導入することを試みた.しかしながら,他のマメ科植物(アズキ,ソラマメなど)で報告されているとおり,リ-フディスク法ではアグロバクテリウムによる感染が困難で,形質転換体を得ることができなかった.そこで,ササゲの胚軸由来のプロトプラストにエレクトロポレーション法で外来DNAを導入する方法を用いることにしたが,そのような実験例はササゲでは報告されていない.そのような実験系を構築するために,プロトプラストからのカルス再生系を作出することを試みたが,現在までに形質転換カルスは得られていないため,現在β-グルクロニダーゼ遺伝子(GUS)をレポーター遺伝子とした形質転換条件の検討を行っている.
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