研究概要 |
1.培養細胞系の確立 小腸上皮吸収細胞様の機能を発現するヒト結腸ガン細胞Caco-2を使用した培養系の確立を目指した。tight junctionの形成度の指標として細胞層を隔てた電気抵抗を測定した。培養2日目以降に高い抵抗値が得られた。電子顕微鏡による観察で、17-19日程度培養した細胞では、micro villiも観察され、吸収実験を行うのに最適である培養系(培養後17-19日)が確立された。 2.促進能とトリグリセリドの分解度との相関関係の解析 トリグリセリドやその分解物である各成分について、吸収促進能を上記培養細胞系で測定した。すなわち、炭素鎖長6,8,10の脂肪酸(FA)やそれからなるモノ・ジ・トリグリセリド(MG,DG,TG)存在下(10mM)での生理活性モデル物質ペニシリンVの細胞層透過速度を測定した。測定には、拡散チャンバーを用いた。各成分のうちC6-DG,C8-MG,C10-MG,C10FA存在下の透過速度がそれぞれコントロールの197倍、220倍、190倍、13倍であった。その他の成分はコントロールと差が見られなかった。これらの促進能がそれぞれの成分の界面活性と正の相関があることを明らかにした。これらの成分を混合して使用した際の促進能力については、現在検討中である。 本年度で得られた知見を、1995年度の農芸化学会本大会で発表する予定である。また、近く論文として投稿する。
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