プロテインホスファターゼ2C(PP2C)発現プラスミドを持った酵母細胞にUVを生存率が40%となるように照射し変異処理を施した。これをPP2C非発現条件でコロニーを形成させたのち、PP2Cの発現を誘導する寒天プレートにレプリカしその生育を観察したところ、PP2C非発現条件下では成育できるが、PP2C発現条件では生育できなくなったクローンが6個得られた(PP2C高発現致死ミュータント)。次に、これらを野生株と接合させ、2倍体を形成し、その表現形を観察したところ、そのうちの1個が優性変異であり、残りの5個は、劣性変異であることがわかった。そこで劣性変異である5個のクローンをお互いに接合させたところ、5個はそれぞれ別の相補群に属することがわかった。得られたクローンの一つ(♯36)は、ホモで接合させると胞子形成異常を示した。同クローンはグリセロールを炭素源とした培地で正常に生育することから、単なる呼吸系の欠損ではないと思われ、現在同クローンについてPP2C発現条件下での生育を指標として、その遺伝子をクローニングすることを試みている。すなわち、遺伝子ライブラリーを導入したのち、PP2C発現条件下で生育できる株を選択することにより、目的とする遺伝子を得られると考えられる。
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