研究概要 |
遺伝子工学的手法により、マウス由来抗Lewis Y抗体(mH18A)をヒト型(IgG1)に組み替えたキメラ抗体(cH18A)を用いて、肺腺癌細胞株(PC7,PC9,PC14)に対する補体依存性細胞障害活性(CDC)について検討した。まず標的細胞上のLewis Y抗原の発現をフローサイトメーターを用いて検討した。PC7およびPC9は抗原発現が陽性であり、PC14は陰性であった。dye exclusion試験あるいはMTT試験によりCDC活性を測定し、cH18A抗体はPC7,PC9に対して細胞障害活性を発揮し、PC14に対しては障害活性が見られなかった。同様に^<51>Cr放出試験においても、PC7,PC9に対しCDC活性を発揮した。また、同じLewis Y抗原を認識するマウス抗体(mH18A;IgG3,AH6;IgM)に比較してcH18Aにより誘導されるCDC活性は、けっして劣る結果ではなかった。 一方、CDC活性は標的細胞上の補体制御因子(CRP)により抑制されたが、これらのCRPの機能を抗体により制御すると、CDC活性の増強がみられ、生体内でのCDC活性がLewis Y抗原に対する抗体のみでは誘導されにくいことが示唆された。これらの結果は現在論文としてScandinavian Journal of Immunologyに投稿中(reviced from)である。 今後、CRPにはCD46(MCP),CD55(DAF),あるいはCD59(MACIF)なとどの分子があり、いく段階にも補体の活性化を制御しているため、cH18A抗体および補体のハプテン化による細胞障害活性の増強効果に対する、CRPの関与をより詳細に検討し、臨床におけるTargetting両方のあり方について検討を続けていく予定である。
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