ラットにトルエンを投与し、白黒の箱よりなる条件性場所選好実験装置の白色の側に1時間放置した。翌日、オリーブオイルを投与し(統制条件)、今度は黒色の側に1時間放置した。この手続きを3回、計6日間にわたって繰り返し、7日目に乱用形成テストを行った。このテストでは白・黒の箱を仕切る壁を取り除き、ラットが白・黒どちらの側に滞在したか30分間測定した。乱用が形成されていたなら、ラットはトルエン投与時に放置された白色の箱を好むようになる。以上の操作を繰り返し、乱用形成を評価した。 1、トルエン3回投与後の結果は、 (1)トルエン100mg/kgでは、4個体中1個体が、トルエンを投与された側の箱を好んだ。 (2)トルエン200mg/kgでは、4個体中2個体が、トルエンを投与された側の箱を好んだ。 (3)トルエン400mg/kgでは、4個体中3個体が、トルエンを投与された側の箱を好んだ。 2、トルエン6回投与後の結果は、 (1)トルエン100mg/kgでは、4個体中0個体が、トルエンを投与された側の箱を好んだ。 (2)トルエン200mg/kgでは、4個体中0個体が、トルエンを投与された側の箱を好んだ。 (3)トルエン400mg/kgでは、4個体中1個体が、トルエンを投与された側の箱を好んだ。 以上の結果から、充分な乱用が形成されたとは判断できなかった。その理由は、トルエン投与が内臓に不快な刺激を与え、ラットはトルエンを投与された側の箱を避けるようになったと考えられる。トルエンが内臓に刺激を与えないよう充分にオリーブオイルで希釈し、検討しなおす必要があると思われる。
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