研究課題/領域番号 |
06857070
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三谷 絹子 東京大学, 医学部(病), 助手 (50251244)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 慢性骨髄性白血病 / 急性転化 / t(3;21)(q26;q22) / AML1 / EVI-1 / 転写因子 |
研究概要 |
慢性骨髄性白血病急性転化の分子機構の一端を明らかにする目的で、慢性骨髄性白血病急性転化時に特徴的に出現する染色体異常であるt(3;21)(q26;q22)の結果形成されるAML1/EVI-1融合遺伝子の造腫瘍活性及び転写因子としての機能を検討した。 1造腫瘍活性の検討 (1)AML1/EVI-1及びBCR/ABLの融合部分に対する16-merのアンチセンスオリゴヌクレオチドを作成し、t(3;21)とt(9;22)を有するヒト白血病細胞株SKH1の培養上清中に添加した。BCR/ABLに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドにはいずれの効果も観察されなかったが、AML1/EVI-1に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドは^3H-thymidineの取り込み及び細胞数を著名に抑制した。従って、急性転化後の白血病細胞の増殖には、BCR/ABL融合蛋白質ではなく、AML1/EVI-1融合蛋白質が重要であると考えられた。(2)ラット繊維芽細胞株Rat-1細胞にAML1/EVI-1cDNAを遺伝子導入するとコロニー形成能が誘導された。また、p210BCR/ABL発現Rat-1細胞にAML1/EVI-1を共発現させるとコロニー形成能の増強が観察された。 2転写因子としての機能の解析 AML1/EVI-1は、(1)AML1と同様にPEBP2部位に結合し、AML1によるPEBP2部位に対する転写活性をdominantに抑制する、(2)AP-1活性を上昇させる、ことが明らかになった。さらに、AML1/EVI-1の転写制御因子としての機能ドメインの欠失変異体を構築して検討したところ、(1)の機能は、AML1のDNA結合領域であるruntドメインに依存し、(2)の機能はEVI-1と同様に第2zincフィンガー・ドメインに依存していることがわかった。以上の結果は、AML1/EVI-1が互いに独立した2つの機能を有する転写制御因子であることを示す。これらの機能が、それぞれ造血細胞の分化抑制と増殖促進に関与し、白血化に至るのではないかと推定された。
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