研究概要 |
今年度の研究実施計画より、以下の項目を今年度の研究成果として報告します。 1.胃癌218例と正常コントロール319例の症例を集積し、胃癌におけるケースコントロールを作成した。これらのサンプルよりDNAを抽出し、以下の実験に用いた。 2.チトクロームp4502E1遺伝子のうちRsa1制限酵素による遺伝子多型性(RFLP)をPCR-制限酵素処理法により判定した。 3.増殖に関与する癌遺伝子であるL-myc遺伝子の多型性分析を同様な手法に従い行った。 4.胃癌症例以外に、肝癌16例、肝硬変48例の症例を集積し、チトクロームp4502E1およびL-mycの遺伝子多型性を調べた。 5.これらの結果をX^2検定、Mantel-HaenazelのOdds Ratio(相対危険度)などの検定で統計学的に検討したところ、チトクロームp4502E1 Rsal RFLPの特定の遺伝子タイプと胃癌、肝癌の発生には、この症例数では有意差は認められなかった。しかしながら、B型やC型肝炎の合併のないアルコール性肝硬変の発生に、特定の遺伝子タイプの関与の可能性が示唆された(Rharmacogenetics,1995 inpress)。このことにより、アルコール脱炭酸酵素以外の重要なアルコール代謝酵素であるチトクロームp4502E1の遺伝子多型性を調べることにより特にアルコール性肝硬変の発生が予測できるかも知れないと考えられる。 本研究は、解析した症例数が不十分でまだ推測の域をででおりませんが、今後更に症例数を増やして検討したいと思います。
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