本研究では、各種骨補填材を填入した術後4周におけるインプラント周囲骨欠損部の組織学的特徴を観察することを目的とした。実験には両側下顎小臼歯を抜歯し3ヵ月経過した体重約15Kgの健康な雑種成犬8匹を用いた。またインプラント試料として直径4mm、長さ12mmの円筒形試料を16本用いた。内訳は純チタン16本、純チタン表面をハイドロキシアパタイト(以後HAという)で被覆したもの16本、計32本を用意した。全身麻酔下で手術予定部に頬側より切開を加え歯肉弁を起こし骨面を露出させた後で、IMZの外科用バ-を用いて注水下で少しずつ直径を拡大し直径4mm、長さ12mmの骨孔を形成した。同時に同部の頬舌側の骨壁をバ-で幅4mm、深さ4mmにわたり除去した。そして、窩洞を生理食塩水にて洗浄した後、インプラントを埋入し、欠損部を血餅または各種骨補填材で満たした後で、インプラントを中心として膜で被覆した。被覆膜として非吸収性のGTAMを用いた。その後、歯肉弁を戻し創を閉鎖し感染防止のためテトラサイクリンを腹腔内に投与した。実験部として、1)欠損部を血餅で満たしただけで腹を使用しなかったものを対照として2ヶ所設けた。さらに2)欠損部を血餅で満たしGTAMで被覆したものを2ヶ所、3)欠損部にコラーゲンに化学処理した牛骨を混和したもの充填しただけで膜を使用しなかったものを2ヶ所、4)欠損部にコラーゲンに化学処理した牛骨を混和したもの充填しGTAMで被覆したものを2ヶ所、各々設定した。術後4週で全身麻酔を施しバルビタールの静脈内への過剰投与により屠殺し、現在標本製作中である。
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