1.キャピラリー電気泳動法の泳動条件の検討 アクリルアミドゲルのキャピラリーカラム(100μm×30cm:ベックマン製)を用いて分解能を検討した結果、200塩基から600塩基の範囲では、塩基長の数%の違いで分離できることが明らかとなった。サンプル注入から検出までの時間(検出目的物のゲル内移動時間)は40分以内と極めて迅速であった。また、その再現性も同時再現性、日差再現性とも5%以内と良好なものであった。 2.検出感度 紫外部吸収による測定(260nm)での検出限界は、10μg/μl程度であり、PCR増幅産物の検出には充分なものであった。しかし、検体の微量化を進めるためには、もう一桁以上感度を上げる必要があると考えられ、検出系を蛍光に変えるなどの検討が必要である。 3.黄色ブドウ球菌からのDNA抽出 細菌の細胞壁溶解酵素を含む溶菌条件を検討した結果、実施したほとんどすべての菌株からDNAを抽出することが可能であったが、100余例中5例極めて溶菌しにくい株が認められた。溶菌条件についてはより検討が必要である。 今年度得られた成果をふまえて、マルチプライマーによるPCRによって複数の目的遺伝子領域を増幅し、キャピラリー電気泳動によって一度に検出することによって迅速検出を可能にすることができると考えられる。
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