研究概要 |
1.目的:パルスオキシメーターを用い、在宅酸素療法療法(HOT)患者の日常生活下の酸素不飽和状態を評価し、HOT患者の日常生活における呼吸管理指標(DIHOT)を開発する。 2.方法:当院、栃木県足尾双愛病院、福島県郡山保健所で管理中の成人・老人HOT患者50例(男性31名、女性19名、平均年齢68.0歳)に家庭訪問を各2回行い、24時間酸素飽和度(以下Spo_2)測定、パラメーター収集、聞き取り調査と家庭環境の観察を行った。 3.結果:1)対象の背景-主疾患はCOPD46.0%,SeqTB26.0%が多く、HOT期間は平均22.7ヶ月、酸素流量は安静時平均1.2L/min、酸素使用時間は平均17.0H/dayであった。呼吸機能は混合性障害者が58.0%,血液ガスはPaO_260.3torr、PaCo_247.9torr、SpO_296.1%であった。 2)DIHOTの開発過程と結果-DIHOT(Desatulation Index for Home Oxygen Therapy)は、5秒間隔で測定した24時間のSaO_2を100%から最低値までカウントし、90%以下の度数については90%との差を重みづけし、それを合計したものを有効計測カウント数で除し100倍したものとした。重みは90%を1、89%を2、88%を3と順次積算した。その結果、24時間DIHOT=123.8±195.4、覚醒時DIHOT=137.9±215.7、睡眠時DIHOT=83.9±160.5が得られた。DIHOTは従来の酸素不飽和時間よりも、多くの自覚症状項目と有為な相関が認められた。 3)DIHOTによる患者管理区分-覚醒時及び、睡眠時DIHOTを基準にクラスター分析を行った結果、DIHOTによる管理区分は5群に分割されるのが妥当とされた。各区分別の特徴は次のように示された。最も管理状態の良い区分Aは呼吸機能が最も高く、自覚症状は最も低い。区分Bは肺結核後遺症が多く、呼吸機能は区分Aに次いで高い。区分Cは不飽和時間に比べSpO_2の低下度が大きい。区分Dは酸素飽和度が睡眠時に特徴的に低下する。区分Eは症状が最も強く、最も管理状態が不良であった。 4.考察:DIHOTはHOT患者の日常生活下の呼吸管理状態を的確に評価できる指標であると示唆された。
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