酸化剤として、アスコルビン酸、臭素酸カリウム、ベンゾイルパーオキサイドを使用し、小麦粉に対して各種酸化剤の濃度は50ppmを用いた。食パン用配合(小麦粉200g、水120g、食塩4g、砂糖10g、ドライイ-スト4g、酸化剤)を用い、混ねつ(ナショナル自動パン焼き器使用)した。発酵(28℃)時間は0、2、4時間とした。発酵後のドウより、グルテンを水洗により取り出し、凍結乾燥を行い、試料とした。 混ねつ直後のグルテンのTBA値はコントロールに比べ酸化剤添加により増加した。また、コントロールおよび臭素酸カリウム添加系では発酵時間の延長とともにTBA値は上昇したが、アスコルビン酸、ベンゾイルパーオキサイド添加系では発酵2時間まではTBA値は上昇するが、それ以降は低下傾向であった。 発酵時間及び酸化剤の種類によるグルテンのアミノ酸組成を調べたところ、酸化剤添加系、無添加系いずれにおいても発酵時間によりアミノ酸組成の顕著な変化は観察されなかった。また、酸化剤の種類により、アミノ酸の組成に顕著な差はみられなかったが、ベンゾイルパーオキサイドおよび臭素酸カリウム添加系において発酵時間の延長とともにチロシンの減少が観察された。すべての添加系においてチロシン2分子による架橋結合の結果であるジチロシンは検出されなかったが、チロシンと低分子のチオールの反応に由来するDopaと推定される化合物がHPLCにより検出された。これについてはさらに検討が必要である。
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