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企業行動からみた物流システムの空間構造

研究課題

研究課題/領域番号 06858013
研究種目

奨励研究(A)

配分区分補助金
研究分野 人文地理学
研究機関新潟大学

研究代表者

野尻 亘  新潟大学, 教育学部, 助教授 (70208346)

研究期間 (年度) 1994
研究課題ステータス 完了 (1994年度)
配分額 *注記
900千円 (直接経費: 900千円)
1994年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワード物流 / レギュラシオン理論 / ポストフォーディズム / ジャスト イン タイム / インフラストラクチュア / 二重構造 / 系列 / 多品種少量生産
研究概要

従来から経済地理学においては、物流を研究対象とすることは、どちらかと言えば看過されてきた。しかし、今日の欧米の地理学方法論においては、レギュラシオン理論によるアプローチが盛んになり、ポストフォーディズムへの移行を分析することが重要な課題となっている。
ジャスト イン タイム(以下JITと略記)は、日本で発生した物流の方式であり、ポストフォーディズムへの移行を示す空間構造として、海外の地理学者からの関心も高い。そこで、わが国の物流の特色とその現況について、地理学から分析を行うことは、重要な課題であると言える。
本研究では、まず戦後50年間における企業行動から見た物流の空間的変化と、その変化に大きな影響を与えてきたインフラストラクチュアの整備を推進した運輸・流通政策の変遷についての展望論文を執筆し、学会誌に投稿準備中である。
その結果、高度成長期の専用大量輸送方式が、低成長期にはJIT方式が主流へと変化し、それが政策的にも推進されてきたことと、そのJITが成立する背景として、大企業と中小企業の格差の二重構造や系列による企業支配という日本独自の要因があることを解明した。その変化の過程は、省エネルギーや環境保全よりも、いっそうの効率化が追求されてきたものであった。
しかし、JITは生産と流通の同時化を意図し、そのために流通の情報化は急速に進行したものの、末端の配送は人手に頼らざるを得ないので、きわめて労働集約的であり、人件費の高騰や社会的費用の発生の抑制といった観点からその矛盾の解消が求められている。加えて、日本の物流の空間構造は、三大都市圏間を中心とした流動を示している。その大都市圏間の幹線輸送については、インフラストラクチュアの整備によってかなり改善されてきた。しかし、大都市圏内におけるJIT方式による末端配送が交通渋滞によって深刻な隘路となっている。
一方、Scottが関心を示したような、JITによって組立工場の周辺に部品下請工場が集積するの愛知県豊田市の事例は、むしろ例外的である。もし一週間のリ-ドタイムが許されれば、部品下請企業も労働力や地代の低廉な所に分散立地が可能である。しかしその場合には、多品種少量生産に対応し、高技術水準を維持しうるためにCAD・CAMを駆使し、ある程度の寡占的なシエアを占める有力な一次下請企業もあらわれてくる。
このような企業行動の展開については、自動車部品・乳製品などの業種の分析を進めているが、これに加えて大都市圏内のアパレル製品の物流についても研究を進展させるべく準備を進めている。

報告書

(1件)
  • 1994 実績報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Nojiri,W.,and Ishikawa,Y.: "Physical Distribution Studies in Japanese Geography" Pragress in Human Geography. 18. 40-57 (1994)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 野尻 亘: "全国陸上輸送体系における貨物流動パターン" 経済地理学年報. 39. 136-154 (1993)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] Nojiri,Wataru: "Choice of Transportation Means for Commuting and Motorization in the Cities of Japan in 1980" Geographical Review of Japan(Ser.B). 65. 129-144 (1992)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 野尻 亘: "シカゴ学派社会学の変遷と人文地理学-方法論から見た再検討-" 経済地理学年報. 35. 281-294 (1989)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 野尻 亘: "わが国における定期トラック路線網の形成過程" 地理学評論. 61. 597-614 (1988)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 野尻 亘: "近年における石油製品輸送手段の選択利用の変化" 経済地理学年報. 33. 1-17 (1987)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 野尻 亘: "人文地理学方法論と生態学的視点" 人文地理. 38. 507-530 (1986)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 野尻 亘: "鉄道輸送を中心として見た素材的工業製品輸送の地域構造" 人文地理. 34. 551-565 (1982)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書

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公開日: 1994-04-01   更新日: 2016-04-21  

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