研究概要 |
本研究では,知覚情報処理の初期段階において,外界から入力された多数の素情報(特徴)を統合する過程を,非線形振動子の引き込みによって実現することを目指した.すなわち,高次での対象認識を行うために,同時に得られた多数の素情報が,相互に一定の関係性のあるまとまりごとにひとつの対象として認識される必要があるが,それをテンプレート・マッチングで行うことに対しては,いくつもの問題点が指摘されている.ここでは引き込みのダイナミクスにより,入力された素情報群を構造的あるいは機能的関係により動的に結び付ける点が主眼である.今年度のところでは,基本的には上記の引き込みメカニズムにもとづき,視覚系でのパターン分類,聴覚系でのバックグランドノイズからの選択的聞き分けといった機能の実現を目指して,個別のモデルを提案し,計算機シミュレーションにより処理能力の評価を行った.同時に,従来型ニュウ-ロンによるニューラルネットワークとの性能比較のために,階層型ニューラルネットワークや緩和型のホップフィールドネットワーク等を各種課題に適用し,シミュレーションにより評価を行った.具体的には,組み合わせ最適化問題としてスケジューリング問題(ジョブショップ型およびラインバランシング問題)を対象に,それに適用するための手法を提案し,その評価を行った.スケジューリング問題に対しては更に,探索手法としての遺伝的アルゴリズムの適用も試み,併せて評価している.
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