研究概要 |
ミトコンドリア膜間部タンパク質であるシトクロムb_2は,その局在化の過程で最後に膜間部においてプロセシングをうけるが,このステップの変異株(imp変異株)が温度感受性の呼吸欠損株として分離されている.そこで,膜間部タンパク質の仕分けの変異株を,まず温度感受性呼吸欠損株として分離した. 酵母野性株をエチルメタンスルホン酸を用いて変異源処理し,約19,000個のコロニーをスクリーニングした結果,215株の温度感受性呼吸欠損株を得た.これらの株を制限温度下で培養後,細胞抽出液を調製し,SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動,抗シトクロムb_2抗体を用いたウェスタンブロットを行なった.この結果,制限温度下でシトクロムb_2の中間体が蓄積している株を1株,シトクロムb_2の前駆体が蓄積している株を4株得た.まず,制限温度下でシトクロムb_2の中間体を蓄積する1株について遺伝解析を行なった結果,この株はIMP1遺伝子に変異が生じており,膜間部タンパク質の仕分け機構の変異株ではないことが明らかとなった.一方,制限温度下でシトクロムb_2の前駆体を蓄積する株では,制限温度下においてF_1βタンパク質のような他のミトコンドリアタンパク質の前駆体の蓄積は観察はされなかった.このことは,これらの株はシトクロムb_2の局在化に特異的に欠損を持っていることを示唆している.そこで現在,これら4株についてさらに遺伝解析を進めている.これらの株の解析によって,シトクロムb_2の局在化機構に関与する因子が同定されることが期待される.
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