研究概要 |
マウスの脳幹腹側で交叉するaxonの伸長経路決定の分子機構を解明するため、axonの伸長を促進することが知られている細胞外基質分子(ECM)、その受容体インテグリン(Int)について、それらの発現をマウス胎仔の延髄後部で免疫組織化学的に検討した。胎生13日の延髄後部で、IV型コラーゲン(ColIV)およびその受容体であるIntのサブユニットα_1,α_2,α_3,β_1がいずれも、正中領域に存在する第4脳室近傍から脳表面軟膜直下まで達する長い突起に強く発現していた。この突起は幼若なアストログリアのマーカー1D11にも免疫陽性であった。そこで、ニューロフィラメント(NF)と1D11の2重染色を行うことによってNF免疫陽性の交叉性軸索と1D11陽性の突起との関係を調べたところ、正中領域で交錯していた。胎生13日の延髄後部の外側に脂溶性蛍光色素DiIを注入して交叉性軸索とその起始細胞を逆行性標識したところ、反対側の下オリーブ核原基からの神経軸索が正中領域で交叉している像が観察された。下オリーブ核の高さにおける正中部のColIV,Intの発現は胎生15日でいずれも陽性であったが、胎生18日では消長が認められた。現在、下オリーブ核からの交叉性軸索を経時的にDiIで標識し、その発達過程と正中領域でIntなどが一過性に発現することとの相関について解析中である。
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