研究概要 |
非消耗電極型アーク炉(大亜真空技研(株)製)によって各種合金のインゴットを溶製した.得られたチタンインゴットを現有の超高温高真空横型管状電気炉(理科工業(株)製)で均質化熱処理し,これを表面処理用の試料とする. ホウ化処理はハロゲン化剤であるホウフッ化カリウムなどの粉末とボロンの供給源とするアモルファスボロンの粉末,ならびに燒結防止のため配合するアルミナ粉末を混合した処理剤を入れたカプセル中に試料を埋没させ,上述の横型電気炉内で適当な処理条件(時間,温度)の熱処理を行った. まず,ホウ化処理によって形成した皮膜の表面と試料断面の観察を行い,皮膜の厚さ,地合金との密着性などのマクロな構造や欠陥等を評価した.これには光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製JSM-6400)を使用した.また,全自動X線回析システム(フィリップス製MPD1880,ディジタル・イクイップメント製ワークステーションMicro VAX3100を含む)を使用し,皮膜の構造解析ならびに構成相の同定を行い,表面の皮膜がTiB_2を主体としたものであることを確認した.皮膜の力学的性質の検討は極薄膜の硬さ測定が可能なダイナミック超微小硬度計(島津製作所製DUH-200,現有設備)によって評価した.上述の諸性質に関して,既存のチタン合金等の結果と比較して検討し,本研究で行った耐摩耗性のための表面処理の有用性を明らかにした.
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