研究概要 |
研究代表者は、SU(2)ヤン・ミルズ理論においては,磁気モノポールが起源となる質量次元2の新たな型の磁気的凝縮を提唱した。その結果,双対超伝導描像を裏付ける現象であるアーベリアンドミナンスとモノポールドミナンスが,この磁気的凝縮を起源とする(非対角)グルーオンの動力学的質量の獲得によって説明できると同時に,その質量が十分大きければタキオンモードが消滅して,自発的に生成したカラー磁場を持つSavvidy真空は従来の定説であるコペンハーゲン真空に依らずに安定性を回復できることを指摘した。 これは,非可換ゲージ場から非線形変数変換として,モノポールを含む位相的配位を直接抽出することで可能になった.その結果,Savvidy真空の自発磁場を単なる一定外場の場合に限らず,モノポトール凝縮と直接的関連を持つ磁気凝縮として微視的見地から理論的にも初めて導出できるようになった。双対超伝導描像を裏付ける現象として数値計算により発見されたアーベリアンドミナンスとモノポールドミナンスが,モノポール自由度による磁気凝縮により獲得された非対角グルーオンの動力学的質量の帰結として理論的に理解することが可能になった。これを,ゲージ群がSU(3)の場合の拡張することが,現実のQCDに適用するために不可欠である。 実際、3つあるいは4つのカラーを持つ量子色力学の基底状態は、クォーク閉じ込め機構としての双対マイスナー効果に必要な磁気モノポールの凝縮を含むことを議論した。また、それが非対角グルーオンに有効質量を与え、不安定モードを取り除くことで基底状態の安定性を保証することを示した。
|