研究概要 |
廃棄物を乳酸菌による乳酸発酵に利用する場合では,大量添加が必要であり,分離プロセスの負担が重くなる。ここでは,魚廃棄物の添加量と生産性,発酵終了後発酵液の灰分および有機窒素濃度の関係を調べた。廃棄物添加量の削減により,発酵液の灰分と窒素濃度が減少するとともに,生産性も低下したため,魚廃棄物を他の栄養物を組み合わせ,その相乗効果について検討した。魚廃棄物を廃乳酸菌と組み合わせたところ,生産性を低下させず,灰分と有機窒素濃度を15g/L酵母エキスを用いたコントロール発酵とほぼ同じとすることができ,添加量を75%低減することに成功した。 乳酸は,通常乳酸カルシウムなどの塩の形で発酵法により生成される。ここでは,乳酸カルシウム回収コストを削減するため,高濃度の乳酸カルシウムの生成ついて検討した。発酵において,乳酸濃度が低いときでは(<100g/L)アンモニア水溶液添加により生産性が高くなるのに対し,乳酸渋皮が高<なると(>100g/L)炭酸カルシウムを添加により生産性が高くなることが明らかとなったが,乳酸カルシウム濃度がさらに高くなると,発酵中発酵液が凝集し,発酵が停止した。発酵液の凝集は乳酸カルシウム濃度,発酵時間,温度と関係があることが明らかとなり,発酵条件と発酵法を改善することにより,グルコース初期濃度が190g/Lの場合でも,発酵を完全に終了させることができ,乳酸カルシウム濃度として220g/L以上の値を得ることができた。 糸状菌による澱粉類廃棄物からの乳酸発酵では,発酵に及ぼす前培養の条件,菌の濃度,澱粉濃度などの影響について検討し,撹拌楷型ファーメンターにおいて,発酵効率の良いペレット状の菌体が形成する条件を明らかにした。本条件では,均一なペレットができ,125g/Lの澱粉から80〜90g/Lの乳酸を得ることができた。
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