研究概要 |
種々の大気波動のうち大気重力波ならびに大気潮汐は鉛直方向に伝搬する際に力学的エネルギーや運動量を下層大気から高層に輸送し、大気大循環を駆動する重要な役割を果たしている。これらの大気波動の特性を解明するには、風速や温度変動を優れた時間高度分解能で観測する必要がある。この研究では、MUレーダーおよびEARによる風速測定、さらにRASS機能を付加して気温を連続観測し、そのデータを解析することで、日本上空や熱帯域(インドネシア、インド)における大気波動の特性を明らかにした。 具体的な研究内容は以下の通りである。 (a)MUレーダー・RASSのデータ解析により、乱流拡散係数の高度分布、ならびに大気安定度が重力波の鉛直伝播に与ええる影響に関する3編の論文を公表した(1,2,5)。 (b)インドネシアの赤道大気レーダー(EAR)、インドのGadanki MSTレーダー、ならびにオーストラリアにおける気球観測キャンペーンで得られたデータを用いて大気重力波の活動度と降雨の相関、一日周期大気潮汐波の高度変化などを解析した(3,4,6)。 (c)新しい衛星観測法であるGPS掩蔽で得られた成層圏下部の気温プロファイルを用いて、熱帯域の大気重力波のグローバル分布特性を解析した(7,8)。 これらの研究成果の発表ならびに国際研究動向調査のために、2007年7月にイタリアで開かれたIUGG総会に出席した。
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