研究課題/領域番号 |
06F06759
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
山崎 秀雄 国立大学法人琉球大学, 理学部, 教授
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研究分担者 |
BOUCHARD Josee Nina 国立大学法人琉球大学, 理学部, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2006 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2008年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2007年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | サンゴ / サンゴ白化現象 / 光合成 / 環境修復 / 地球温暖化 / 沖縄 / ストレス / 活性窒素 / 一酸化窒素 |
研究概要 |
地球温暖化にともなって表面海水温度が上昇しており、多くの海洋生態系が影響を受けている。特に、熱帯・亜熱帯のサンゴ礁生態系への影響は甚大で、世界各地のサンゴ礁が衰退と絶滅の危機に瀕している。穏和な熱帯で進化してきた造礁サンゴ(石サンゴ)は、温度変化に敏感な動物である。僅かな海水温の上昇によって「サンゴの白化」とよばれる特徴的な現象をみせる。サンゴの白化現象は、サンゴ礁生態系の崩壊を示す初期症状と考えられるが、直接的な原因や白化の分子機構が不明なため、対策を講じることができないのが現状である。本研究では、サンゴに共生している褐虫藻側からサンゴの白化メカニズムを明らかにすることを目的としている。本年は、高温誘起性障害の発生機序について、共生藻の細胞死誘導メカニズムの検討をおこなった。褐虫藻Symbiodinium microadriaticumを純粋培養し、高温に対する応答を調べた。培養温度を通常の27度から32度にあげた場合、褐虫藻細胞の生残率の低下が認められた。この時、SYTOX-Greenによって検出されるカスパーゼ3様活性の顕著な上昇が観察された。カスパーゼ様活性の上昇に伴って、褐虫藻からの一酸化窒素(NO)生産の顕著な増加がみられることを見いだした。哺乳類型カスパーゼ3の阻害剤であるAc-DEVD-CHOを加えたところ、高温誘導性のカスパーゼ様活性の上昇が抑制されることが明らかとなった。さらに、NO生産とカスパーゼ様活性上昇との関連を探るために、化学的NO供与体であるsodium nitroprusside(SNP),S-nitrosoglutathione(GSNO),S-nitroso-N-acetylpenicillamine(SNAP)および3,3bis(Aminoethyl)-1-hydroxy-2-oxo-1-triazene(NOC-18)を添加して効果を調べた。これらの供与体の中で、SNPとNOC-18には、顕著なカスパーゼ活性誘導効果があることが確かめられた。これらのNO供与体の効果は、カスパーゼ阻害剤Ac-DEVD-CHOを添加することによって完全に抑制された。本研究の結果、高温暴露によって、まず、褐虫藻のNO生産が過剰となり、その後、カスパーゼ3様活性の上昇が誘導され、その後、褐虫藻の細胞死が引きおこされる一連のスキームが明らかとなった。現在、研究成果は英文国際誌に投稿中である。
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