研究概要 |
悪性腫瘍で変異失活した癌抑制遺伝子p53の機能を回復させることを目的として、p53下流遺伝子の一つであるDR5の発現誘導成分の探索を行った。癌予防の観点から、主に食品成分を中心にスクリーニングを行い、新たに見いだされたDR5発現誘導成分において、癌細胞へのアポトーシス誘導効果とDR5発現誘導機構の解析を行った。 DR5発現誘導成分の検討において、牡蠣やホヤに含まれるカロテノイドであるhalocynthiaxanthin、シジミ貝などに含まれるカロテノイドであるperidinin、リポキシゲナーゼ阻害剤であるnordihydroguaiaretic acid、抗血小板薬であるdipyridamoleに、それぞれDR5発現誘導能があることを見出した。そしてそれらと、DR5の特異的リガンドであり、抗腫瘍性サイトカインであるTRAILとの併用によって、腫瘍細胞に対するアポトーシス誘導が、TRAIL単剤に比べて著しく増強することを確認した(Yoshida T.et al.Mol.Cancer Res.2007,Yoshida T.et al.Cancer Sci.2007,Goda AE., et. al.Oncogene in press)。現在、TRAIL発現誘導成分の探索も開始しており、実験系を確立し、複数のTRAIL発現誘導成分を見いだしている(投稿準備中)。今後も、「癌の遺伝子調節化学予防法」の開発を目指し、TRAIL発現誘導成分とDR5発現誘導成分の併用を試みる。
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