研究課題
特別研究員奨励費
本研究課題の主たる目的である、熱電変換材料に有望な「Al系準結晶及び近似結晶の陽電子消滅法を用いた原子空孔及び結合性の評価法の確立」を行う上で、前年度はAl元素からなる正20面体クラスターの中心がRe元素で占有されていて構造型原子空孔のない1/0-Al_<12>Re近似結晶とAl元素からなる正20面体クラスターの中心が空孔の1/1-AlReSi近似結晶に対して陽電子消滅寿命測定を行い、得られた陽電子寿命を純金属・半導体・金属間化合物の陽電子寿命と比較検討した結果、平均価電子濃度が増加するにつれて、空孔のないバルク寿命値及び単原子空孔寿命値ともに減少する傾向を示した。これにより、これまで不明瞭であった準結晶や近似結晶の陽電子寿命の絶対値の違いを議論することが可能になった。本年度は前年度の研究を発展させ、陽電子消滅法を用いた、Al系準結晶及び近似結晶における結合性の評価法の確立を目指し、様々なAl系準結晶・近似結晶の陽電子消滅寿命測定を行い、構造型原子空孔の存在を確かめると同時に、新たに、この構造型原子空孔内の価電子数密度と電気伝導率との相関関係を検討した。その結果、陽電子消滅法を用いることにより、周期性を有さない準結晶における結合性評価の可能性を示す結果が得られた。得られた結果から共有結合性の強いAl-Pd-Mn及びAl-Pd-Re準結晶に着目し、Al-Pd-Re準結晶に関しては、ポーラスな組織を改善することにより、無次元熱電性能指数を0.05から0.15まで約3倍向上させることができた。さらなる熱電性能向上の為のベース合金として、組織改善する必要が無く性能指数の大きかったAl-Pd-Mn準結晶を選定し、クラスター間の結合強度を弱めることをねらい、Al-Ga元素置換により無次元熱電性能指数を0.18から0.26まで約1.4倍向上させることに成功した。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (13件)
Zeitschrift fur Kristallographie 224
ページ: 21-25
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Philosophical Magazine 88
ページ: 1929-1934
Journal of Applied Physics 104
Philosphical Magazine (印刷中)(掲載確定)
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Physica Status Solidi (C) (印刷中)
Philosophical Magazine (印刷中)