乱流磁場中を運動する銀河団サブクラスターの3次元磁気流体数値実験 平成19年度は、昨年度からの研究課題である銀河団中に存在するコールドフロントについての研究成果を研究会等で発表することを中心に行なった。 チャンドラX線天文衛星の観測により、銀河団中を運動するサブクラスターの先端に、コールドフロントと呼ばれるシャープな温度不連続面が存在することが明らかになった。このコールドフロントは、銀河団磁場が、フロントを横切る熱伝導を抑制することで、形成・維持されることが示唆されていたが、数値シミュレーションでは、再現されていなかった。私はそれを再現するため、熱伝導を含めた3次元磁気流体コード(CANS)を用いて乱流磁場中を運動するサブクラスターをシミュレートした。計算機には、国立天文台VPP5000を使用した。 その結果、示唆の通り、サブクラスターの運動によりフロントに沿った磁場が形成され、フロントを横切る熱伝導が抑制されることがわかりコールドフロントの再現に成功した。この成果は、今年7月に、The Astrophysical Journalに出版された。研究会では、今年6月にイタリアで開催された、"Tracing Cosmic Evolution with Clusters of Galaxies: Six Years Later"という銀河団研究会でポスター発表を、今年8月には、日本流体力学会・年会2007の宇宙流体セッションで口頭発表を行なった。
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