研究概要 |
本研究の目的は,ロボットの形態の一部であるセンサと制御系の一部である認識器を環境の解釈系として扱い,進化論的計算など機械学習の手法を用いて,解釈系と制御系を同時に最適化することである.従来,ロボットの形態はアクチュエータや制御系とは別の観点から設計されてきたが,形態・制御系・環境の三者のバランスを考慮すれば簡単な制御系で安定な制御や知的な振る舞いを実現できる.このような考えに基づき,第1年度は,タスクを固定して,ロボットのセンサ形態と制御系をシミュレータ上で同時に設計する手法を提案し,実機を用いて有効性を検証した.加えて,光センサのTDOA(Time Difference of Arrival)からセンサ間距離を逐次的に推定することにより,未解釈のセンサデータから身体モデルを構築する手法を提案した.これにより,形態が変化し得るロボットの身体モデルを安価に推定することができるようになった. 本年度は初年度に提案した手法を拡張し,複数のタスク環境において行動学習を高速化する形態の設計法について研究を行なった.シンプレクス交叉とQ学習に基づいてセンサ形態と制御系を同時設計する手法を提案し,ライントレースロボットに提案手法を適用した.シミュレーション上で複数のライントレースタスクを自動生成してロボットに走行させる実験を行ない,提案手法による設計解がセンサを効率的に配置してマルコフ性を回復するような状態空間を獲得することを明らかにしている.
|