研究課題/領域番号 |
06J03784
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
東洋史
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
飯村 友紀 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2007年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
|
キーワード | 主体農法 / 三大革命小組 / セマウル運動 / 先軍政治 / 農業政策 / 北朝鮮の農業政策 / セマウル指導者 / 農工並進 / 小中華思想 |
研究概要 |
前年度に引き続き、北朝鮮の農業政策の形成・展開過程を研究した。具体的には、北朝鮮の農業政策の形成における画期である1950年代前半〜1960年代と、1970年代、1980年代〜1990年代中盤、そして2000年代に着目し、農業政策においていかなる変化が見られたのかについて、考察を行った。その結果、当初のソ連式の農業協同化路線が、国内の政治情勢と相まってより過激に進められたこと、その過程で農業生産の急速な拡大を目指して耕地拡大や深耕・密植といった独特の手法がとられたこと、そして1970年代以降顕著となった農業生産の低下に対し、政策自体を変更するのではなく、それを厳格に実行させることによる増産が企図されたこと、そして対外的にもその「成果」が喧伝されたこと、1980年代中盤以降には経済システム全体の見直しが図られたものの、社会主義諸国の連鎖的崩壊という事態を受けてその試みが挫折したこと、さらには近年に至り、「先軍政治」という一種の軍国主義体制下において農業には軍事工業への蓄積集中という役割が充てられ、軍部門の農業全般への介入が進むなど、収奪がむしろ強化される傾向にあることが判明した。初期を除いたいずれの時期においても、農業政策を含めた経済システム全般の改革よりは弥縫的な改善措置による増収が選好された点が北朝鮮農業政策の大きな特徴であり、それを反復した結果、経済システム自体が崩壊に至ったという、その展開過程そのものにその特質を求めることが可能である。本研究はこのように長いタイムスパンから北朝鮮の農業政策を考察することで、その変化・変容の過程を解明しようとしている点に特徴があり、特に近年の「経済改革」の試みなどが注目される現状において一定の重要性を有すると考えられる。なお、本研究については複数の学術論文として発表するほか、平成20年度提出予定の博士学位論文の主要内容とする予定である。
|