研究課題/領域番号 |
06J04137
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
安房田 智司 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2008年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 協同繁殖 / カワスズメ科魚類 / タンガニイカ湖 / 繁殖戦術 / ヘルパー / Julidochromis / 協力 / 対立 / 精子競争 |
研究概要 |
タンガニイカ湖産のカワスズメ科魚類をモデルとし、魚類の協同繁殖と代替繁殖戦術の進化を解明することが本研究の最終目的である。最終年である今年度は、短期間の野外調査と遺伝学的手法を用いた親子判定を行い、次のような研究成果が得られた。1)協同繁殖魚Julidochromis ornatusの野外での3年間に渡る標識再捕獲調査を実施した。その結果、劣位個体(ヘルパー)が優位個体になる事例は皆無で、優位個体が何らかの原因で消失した場合、他個体が加入し、優位の地位を得た。これらから予想に反し、ヘルパーのままで一生を終える個体が相当数いると推察された。1年後の再捕獲率は40%と比較的高く、繁殖巣を変える個体はほとんどいないことが分かった。再捕獲個体の成長率を調べた結果、成長は遅く、特に大型個体ではほとんど成長していなかった。本種は最大でも約10cmと小型であるにも関わらず、寿命は10年以上である可能性が高いことが示唆された。これらの結果をもとに本種の生活史の解明のため、さらに解析を進めている。2)Julidochromis属は5種が報告されているが、社会構造が分かっているのはJ.ornatusのみである。平成19年に野外で採集したJ.marlieri,J.regani,J.dickfeldiの親子判定を行った結果、J.ornatusと同様に、3種とも非血縁ヘルパーが頻繁に繁殖参加する協同繁殖システムを持つことが証明された。4種間ではヘルパーの性別など社会構造に相違点がある。これらの違いと親子判定の結果を対応させて今後解析を進めていく。3)カワスズメ科魚類は配偶システムが多種多様であるが、遺伝的な配偶システムを明らかにした研究は少ない。2種について親子判定を行ったところ、1種では高い頻度で婚外子が、もう1種では全く婚外子が含まれていなかった。親子判定の結果は、野外観察や精巣の大きさから予測される配偶システムと概ね一致していていることが明らかになった。4)その他、協同繁殖魚の精子競争に関係する精子量の調節や色の擬態による他種共存の研究を論文として報告した。
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