研究課題/領域番号 |
06J04205
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大西 なおみ 北海道大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ヘリコバクター・ピロリ / CagA / 遺伝子導入マウス |
研究概要 |
ピロリ菌病原因子であるCagA蛋白質は胃癌を含む種々の胃粘膜病変発症に深く関与する。in vitro実験系によるCagAの機能解明が進む一方、個体レベルにおけるCagAの胃粘膜病変発症への寄与に関しては未だ検証されていない。本研究は、全身性にCagAを発現する遺伝子導入マウス(cαgA^<Hs>-Tgマウス)を作製し、生体内におけるCagAの発癌への関与を検討した。 1.cαgA^<Hs>-Tgマウスにおける悪性腫瘍の発生 マウス胃粘膜におけるCagAの構成的発現は胃上皮細胞の増殖能亢進効果を引き起こし、さらにcαgA^<Hs>-Tgマウスの経時的観察の結果、48週齢以降において消化管上皮に悪性腫瘍が発生することを見出した。また、cαgA^<Hs>-Tgマウスは血液細胞系の分化・増殖機構に異常を呈し、骨髄性白血病、B細胞リンパ腫およびT細胞リンパ腫を発症することを明らかにした。 2.CagAを起点とする発癌機構の解析 cαgA^<Hs>-Tgマウスの胃粘膜ならびに白血球においてSHP-2の主要な下流標的分子であるErk1/2の活性化を認め、CagAを起点とする発癌過程において、CagAの標的分子である癌タンパク質SHP-2が重要な役割を担うことを示唆した。SHP-2と複合体を形成しないチロシンリン酸化耐性型CagAを発現するcαgA^<Hs>-Tgマウス(PR-cαgA^<Hs>-Tgマウス)を作製した結果、PR-cαgA^<Hs>-Tgマウスは胃上皮細胞の増殖亢進所見を示さず、さらに長期観察後においても消化管上皮ならびに血液細胞系に発癌が認められないことを明らかにした。 CagAは宿主細胞内において発癌活性を有する癌タンパク質であること、また、CagAによる発癌過程においてCagAのチロシンリン酸化とそれに続くSHP-2の機能的脱制御が重要な役割を果たすことを明らかにした。CagAはcαgA陽性ピロリ菌が引き起こす胃発癌過程において中心的な役割を果たすと結論づけられた。
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