研究課題/領域番号 |
06J04256
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
我妻 明湖 東京医科歯科大学, 大学院・生命情報科学教育部, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | GABA作動性ニューロン / 網羅的遺伝子解析 / 単一細胞 / FACS / マイクロアレイ / 臨界期可塑性 / 遺伝子発現 / 神経可塑性 |
研究概要 |
これまでの臨界期研究から、GABAを介した抑制性伝達の成熟が可塑性の出現に必要であり、特定の抑制性神経細胞がその引き金となる可能性が示唆されている。そこで、本研究ではパルブアルブミン含有(PV)細胞を選別し、単一細胞群における転写産物の網羅的発現解析を行った。 はじめに、マウス大脳皮質内に広く分布するPV細胞を、少ないダメージで分離するために、セルソーターを用いた細胞分離法を改良した。細胞分離溶液にトレハロースを導入し、成熟脳における分離細胞の生存率を飛躍的に増加させることに成功した。 この手法を用いて、マウスの大脳皮質からPV細胞を採取し、マイクロアレイにより遺伝子発現プロファイルを明らかにした。さらに、遺伝子改変により抑制性伝達が減弱し臨界期が遅延するGAD65 KOマウスと、それにジアゼパムを投与し正常な時期に臨界期が起こるマウスを用いて、PV細胞での遺伝子発現を比較し、可塑性の原因となる遺伝子の候補を得た。視覚皮質におけるタンパク質局在を調べたところ、Heat shock proteinファミリーの一つであるGRP78がPV細胞膜特異的に発現することを初めて発見した。興味深いことに、視覚皮質PV細胞におけるGRP78の細胞外発現は、PV自身の生後発達と同調して増加し、かつ視覚経験依存的に変化することが分かった。 本研究では、単一細胞に焦点を絞った網羅的遺伝子解析により、皮質抑制細胞における新規タンパク質の局所発現を見出すことに成功した。この成果はPV細胞の可塑性における重要性を裏付ける一つの証拠となる。現在GRP78のノックアウト動物を作製中であり、in vivoでの表現型やスライス標本を用いた抑制性伝達の変化を測定することにより、特定遺伝子が及ぼす表現型への変化を示すことができれば、発達障害の治療や生涯学習の改善にも応用が期待できる。
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