研究概要 |
6連続4置換炭素を有するリアノジンABDE環部骨格の合成に成功した。またABDE環骨格構築の鍵反応となるα-ヒドロキシ化と渡環アルドール反応の収率、操作上の簡便性を大幅に改善することに成功した。以下詳細を示す。 前年度100g合成した1,4-dimethyl-bicyclo[2.2.2]dec-8-ene-2,6-dioneを3工程27%でビシクロ[3.3.2]デカン骨格20gへと変換した。続いて、DMDO酸化によりビス(α-ヒドロキシケトン)とした後、触媒量のトリフリックアシッド(1mol%)を用いることで4工程71%の収率で渡環アルドール反応に成功した。酸化段階を上げてC2対称ビス(1,2-ジケトン)とした。また、同様の手法を用いてビス(1,2-ジケトン)の半分の構造を有するモデル1,2-ジケトンを合成し、C環部に相当する直鎖の4炭素ユニットと、A環側鎖に相当する分岐の3炭素ユニットの導入のモデル実験を行い、位置・立体選択的な求核付加反応が可能であることを見出した。本反応条件を最適化し、ビス(1,2-ジケトン)の非対称化反応へと応用した。しかし、ビス(1,2-ジケトン)はモデル化合物に比べて求電子性が遥かに高かったため、更なる検討を行った。 種々検討の結果、マグネシウムアート錯体を用いた直鎖の4炭素ユニットが導入でき、74%の収率でC2対称化合物の位置・立体選択的な非対称化に成功した。最後に、トリケトンへ分岐の3炭素ユニットを位置・立体選択的に導入し、6連続4置換炭素を有するリアノジンABDE環部骨格を合成。
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