研究課題
特別研究員奨励費
本年度は昨年度一年間かけて英国で収集してきた資料を活用し、渡航前と同じく、近代日本黎明期の産業建築について個別的なスタディを重ねた。今年度の主要な研究対象は大阪造幣寮と長崎居留地の茶再製場である。(大阪造幣寮)大阪造幣寮については、過去に発表した外国人技術者T・J・ウォートルスの雇用と地位という、ソフト面からの考察を行ったが、これとは別に彼の職能の範囲について、ジャーディン・マセソン商会文書を中心に分析した。これらソフト面からの考察に加えて、建物や設備の面から大阪造幣寮を考察すべく、大阪の造幣局に所蔵される創業当初の造幣工場の図面と、英国ナショナル・アーカイブに保存される香港造幣局の平面図を比較考察し、両者の形態的共通点とその背景について考察した。以上の研究内容のうち、ウォートルスの職能の範囲については『日本建築学会大会学術講演梗概集』に、造幣寮の平面や設備については『建築史学』にそれぞれ発表した。(長崎居留地の茶再製場)次に長崎外国人居留地の茶再製場について考察した。幕末から明治の中頃までの日本の外国人居留地には輸出用の茶の再製場があり、日本茶の加工を行っていた。英国ケンブリッジ大学図書館所蔵のジャーディン・マセソン商会文書を資料に、長崎居留地を代表する外国商会グラバー商会が経営する茶再製場について、その設立と操業の経緯を詳細にすることができた。今後、古写真などを利用した形態的側面からの考察に向けた基礎作業と考えている。なお、長崎居留地の茶再製場の設立と操業の経緯については『日本建築学会計画系論文集』へ発表した。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 2件)
建築史学 51
ページ: 45-67
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日本建築学会大会(中国)学術講演梗概集 F-2
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産業考古学 第123号
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