研究課題/領域番号 |
06J08052
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
内村 康寛 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 特別研究員PD
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研究期間 (年度) |
2006 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | SUMO / 翻訳後修飾 / エピジェネティクス / ヘテロクロマチン / メチル化 / 分子修飾 / ユビキチン |
研究概要 |
ユビキチン様タンパク質SUMO (small ubiquitin-related modifier)は、被修飾タンパク質のリジン残基側鎖にイソペプチド結合する翻訳後修飾因子である。SUMOによるタンパク質修飾は酵母からヒトを含む高等生物まで高く保存されており、近年のプロテオミクス解析やモデル生物等を用いた解析から、SUMO修飾による核膜孔複合体、PMLボディーなどめ核構造体形成の制御が示されている。とりわけ、ヘテロクロマチンは遺伝子の転写不活性化やゲノム安定性の維持に重要な働きを有する核内構造体である。これまでに、ヘテロクロマチンの形成と維持においてDNAのメチル化修飾やヒストンH3の9番目リジン(H3K9)のメチル化修飾などの分子修飾の重要性が示されている。今回我々は、哺乳動物細胞のヘテロクロマチン形成におけるSUMO修飾の役割を明らかにすることを目的として研究を進めた。 今回我々は、メチル化DNA結合タンパク質MBD1(methylated-DNA binding domain protein 1)がSUMO化修飾を受けることを明らかにした。細胞内在性のMBD1のSUMO化を免疫沈降法で検出した。一方、酵母2ハイブリド法で同定したSUMO-2/3相互作用因子の中に、ヘテロクロマチン関連タンパク質であるMCAF1(MBD1-containing chromatin associated factor 1)を見出した。MCAF1はヒストンH3K9トリメチル化酵素SETDB1の活性制御に重要な因子として報告されている。リコンビナントの未修飾のMBD1、と比較して、SUMO化MBD1はMCAF1との高親和性の結合を示した。これは、MBD1のSUMO化がMCAF1との相互作用を増強することを示唆している。MCAF1中の疎水性と酸性アミノ酸からなる11アミノ酸の配列がSUMOとの相互作用に必要であることをGSTプルダウン法で明らかにした。同配列のペプチドをヒト子宮頸癌細胞C-33A内で過剰発現させると、MBD1を含むヘテロクロマチン領域からのMCSF1やメチル化H3K9結合タンパク質HP1の消失が観察された。同様の局在変化がSUMO-2/3のsiRNAノックダウンによっても観察された。 今回我々の研究により、MBD1のSUMO化修飾、SUMOとMCAF1の相互作用を介したヘテロクロマチン形成への関与が示され、DNAメチル化を基盤としたヘテロクロマチン形成におけるSUMO修飾の重要性が示された。
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