研究課題
特別研究員奨励費
メダカ性分化におけるMIS及びMISR IIの生理的機能は、生殖細胞の増殖であることをin vivo及びin vitro機能解析により証明している。そこで今年度は、生殖細胞の増殖活性と減数分裂開始におけるMISシグナリングの役割をin vivoで解析した。1、生殖細胞の増殖メダカ性分化の最初の指標は、生殖細胞数の性差である。MIS-またはMISR II-アンチセンスオリゴをolvas-GFP系統(生殖細胞がGFP蛍光により可視化)の受精卵に顕微注入して機能阻害を行った。性分化前では機能阻害胚の生殖細胞数は性差もなく、コントロール胚とほぼ同数であった。しかしながら、性分化時期では、コントロールの雌は雄の約2倍の生殖細胞数を示したが、MIS及びMSR II機能阻害胚では、雌雄で有意に生殖細胞数が減少し、性差も認められなかった。さらに、BrdU染色法により生殖細胞の増殖活性を調べた結果、コントロール胚ではBrdUポジティブ生殖細胞が多数観察されたが、機能阻害胚では全生殖細胞の2〜3%しか観察されなかった。2、減数分裂開始メダカ生殖細胞は、孵化時基において、雌では減数分裂を開始し、雄では有糸分裂を停止する。sycp1-EGFP/olvas-DsRED系統(減数分裂細胞がGFP蛍光により可視化)を用いて機能阻害を行った結果、コントロール胚では、雌でGFPポジティブ生殖細胞が観察されたが、機能阻害胚では雌雄で全く観察されなかった。一方、生殖腺領域を用いたRT-PCR解析では、生殖腺体細胞の性特異的マーカーの発現に変化はなかった。これらのことから、メダカMISシグナリングは、性分化時期における雌雄両方での生殖細胞の増殖と雌での減数分裂開始には必須であるが、性分化には関与しないことが示唆された。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)
Endocrinology 149
ページ: 1813-1819
Molecular Reproduction and Development (In press)