研究課題/領域番号 |
06J08625
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
構造・機能材料
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野崎 隆行 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2008
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | スピントロニクス / トンネル磁気抵抗効果 / スピントランジスタ |
研究概要 |
強磁性トンネル接合におけるトンネル磁気抵抗効果に代表されるスピン依存伝導現象の発見は、不揮発性メモリなどの新規スピントロニクスデバイスの発展に大きく寄与している。しかし、これらの素子は受動素子であるため、半導体トランジスタなどとの複合化が必須となっており、大容量化の弊害となっている。そのため、スピントロニクス素子自身にスイッチ機能、増幅機能といった機能性を付与し、能動素子化することが強く望まれている。 本研究ではトンネル接合の能動素子化としてスピントランジスタの開発を目指すものである。当初の計画では超薄膜中間層を有する二重トンネル接合における共鳴トンネル効果の実現を目指したが、絶縁層上の超薄膜強磁性金属層の作製が技術的に非常に困難であるため、より簡易に同様の機能性付与が可能である、磁壁駆動型スピントランジスタの実現を試みた。 具体的な素子構造としては、磁性細線上の一部にのみ上述のトンネル接合を配置した構造であり、細線中に流すスピン偏極電流によって誘起される磁壁の電流駆動により、トンネル接合の抵抗をスイッチすることが可能である。また、駆動部が金属細線であるのに対し、出力部がトンネル接合であるため、容易に電圧増幅を実現することも可能である。この構造は現在特許申請中である。 初年度は、磁性細線中における磁壁の電流駆動のダイナミクスを明らかにする事を第1の目的として、Ni_<80>Fe_<10>合金(パーマロイ)細線を作製し、高周波電流に対する応答を調べた。通常の異方性磁気抵抗効果を用いたダイナミクス検出は非常に感度が低いため、スピントルクダイオード効果を用いた高出力検出法を確立した。 この検出法により、種々の幅、形状を有するパーマロイ細線中の磁壁の運動を調べた結果、Vortex磁壁における高周波電流誘起の共鳴運動を観測することに成功した。また、このような共鳴状態にある磁壁は、より小さな外部磁場の印加でスイッチさせることが可能であることも明らかとなった。 これらの成果は春に行われる、日本物理学会、応用物理学会にて発表する予定である。
|