研究課題
特別研究員奨励費
申請者はこれまでキラルなホスト分子として、光増感剤修飾シクロデキストリンやキュカービチュリル類縁体ならびにキラル分子クリップを合成し、これらの基底状態でのキロプティカル特性を調べるとともに励起状態での光不斉反応を報告してきた。今年度は学振PDとして、従来の分子認識に関する知識と経験を活かせ、なおかつ新しい分野にも挑戦できる環境としてマサチューセッツ工科大学(MIT)のSwager研に留学し、高感度センサー開発のために水素結合供与体であるチオウレア骨格を有するポリチオフェン誘導体を合成した。このポリマーのTHF溶液にカーボンナノチューブ(CNT)を添加した後に、超音波攪拌を数時間行い均一な溶液とした。得られた混合溶液をガラス基盤上に塗布し、スピンコーティング法により得られた薄膜材料による種々の爆発物(2,4-ジニトロトルエン、ニトロベンゼン、2,4-ジニトロベンゼン)ならびに毒性の高い揮発性薬品(アルデヒド類、ケトン類、MeOH、THF)の電流応答性を検討した結果、水素結合受容体の化学蒸気に対して高い選択性を示した。また、チオウレア部を持たない制御ポリマーを合成し、ドロップキャスティング法により得た混合フィルムで、同様の揮発性薬品の電流応答を比較検討した結果、確かにポリマー主鎖上のチオウレア部がCNT表面での蒸気認識においても大きな役割を果たしていることが明らかとなった。これらの結果はMacromolecules(ACS)に投稿準備中である。
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すべて 雑誌論文 (5件)
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