配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2008年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
本年度は,磁場中擬一次元系を調べ,二重性の多様なふるまいを調べた.この課題を遂行するにあたり,まずこれまで開発してきたN本鎖くりこみ群法を更に拡張し,磁場中においても適用できる理論手法へと発展させた.特に,次の3点が達成できる様理論を工夫した. 1.磁場と温度,鎖間ホッピングの三つ全てを非摂動的に取り扱うことができる. 2.従来の応答関数に加え,有限の重心運動量を持つ超伝導(FFLO)と密度波が新たに考慮できる. 3.スピン一重項と三重項超伝導,あるいは電荷とスピン密度波の混成を適切に取り扱うことができる. その結果,弱磁場から強磁場まで,幅広い磁場領域で正当性が保証される理論手法を開発することに成功した.本手法により,以下のことが明らかとなった. (1)これまでの温度,鎖間ホッピングの競合に加え,更に磁場というエネルギースケールが複雑に絡み合うことで,より多彩な物性を生みだされる. (2)斥力領域では,これまで知られていなかった,二種類(p波,f波)の磁場誘起スピン三重項超伝導が出現しうる. (3)引力領域では,異本的スピン密度波(d波SDW)が磁場により安定化され,そのふるまいは鎖の本数で大きく異なることが明らかとなった.異方的スピン密度波状態が実現すれば,電流,比熱,磁化率,核磁気緩和率等に異常が現れるのみならず,渦スピン流が発生していることとなり,擬一次元電子系のみならず,スピントロニクスという観点からも高く興味が持たれる成果につながる.
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