配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2008年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
π共役系有機物半導体の開発は近年急速に進展しつつある有機エレクトロニクスにおいて必須である.特に近年では,ベンゼン環が単純に多数縮環した化合物にはない特徴を有する特異な構造を持った芳香族化合物が注目を集めている.本研究では湾曲したπ共役系を持つ化合物,及びヘテロ原子によって修飾された拡張π共役系分子に注目し,その合成法から実際のデバイス作成までを行なう事を目的としている.最終年度となった本年は,特異な立体・電子構造を有する化合物を用いて実際のデバイス作成を行なった. デバイス構造は,酸化皮膜のついたシリコンウエハ上にフラーレンの単分子膜を敷き,その上にフラーレンやhexa-kata-benzocoronene(HBC)と言った湾曲した構造を持つ多環式芳香族化合物の薄膜を積む事により作成した.このデバイスの狙いは,中村研究室で開発された,フラーレンの同一半球にカルボン酸が五つ結合した化合物(1)とその同じ半球にさらにフェロセンがついた化合物(2)の単分子膜がFET特性に与える影響を調べる事である. 単分子膜は,アミンで修飾したSiO_2基板を1又は2のTHF溶液に浸す事により作製出来る事が分かった.調製したフラーレン単分子膜上にn-型半導体であるフラーレン蒸着させたFETの場合,SiO_2上に直接C_<60>を蒸着したものよりも単分子膜存在下の方が高い移動度を観測した.それはフラーレン単分子膜により,蒸着されたC_<60>の結晶性が高くなったためと考えられる.一方,HBCをスピンコートしたFETは,光に対して興味深い性質を示した.即ち,1の単分子膜の場合,光をあてた状態では高い移動度を示すのに対し,光を遮った状態では低い移動度しか示さなかった.それは,HBCからフラーレン単分子膜への電子移動が光によって誘起されたことによるものであると考えられる.一方で2の単分子膜の場合,フェロセンによるドネーションの効果により光の影響は大きくなかった.
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