配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2008年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
本年は,戦前日本の産業集積に関する研究,日本の農村貧困削減の経験に関する研究,経済更生運動のインパクト評価,の3つの研究を行った. 戦前日本の産業集積に関する研究は,主要な輸出産業であった製糸業において,産業集積が製糸工場の生産性の向上に果たした役割を検討した.そして,製糸工場のミクロデータを利用し,集積が集積効果と淘汰効果の2つを通して,集積が生産性向上をもたらしたことを定量的に検証した.集積が激しい競争によって,非生産的な工場を淘汰し,産地の生産性を高めていることの発見が主要な貢献である.本成果は,Yutaka Arimoto,Kentaro Nakajima,Tetsuji Okazaki"Agglomeration or Selection?The Case of the Japanese Silk Reeling Industry,1896-1916"としてまとめ,共同研究者(中島賢太郎氏)が各種学会・セミナーで報告している. 日本の農村貧困削減の経験に関する研究は,兼業化が農村の貧困削減に貢献したものの,生産性の低い兼業農家の累積をもたらし,産業としての農業の弱体化に繋がったことを論じた.この経験は,近年の途上国への教訓となり得るものであり,フィリピンで開催された国際シンポジウムで報告した. 経済更生運動のインパクト評価については,兵庫県の市町村レベルを用いた「差の差」の検証による評価を行い,農家負債の整理や農業の多角化などに一定の効果があったことを検証した.経済更生運動はこれまで思想史・政治史的な視角からの検討が主であり,本研究は経済政策としての初の定量的な評価である.本成果は,2009年9月の社会経済史学会での報告に応募中である.
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