研究課題/領域番号 |
06J10074
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
美学・美術史
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 成生 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2008
|
研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
|
配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2008年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2007年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 西洋中世史 / 音楽学 / フランス / カンブレー / 音楽家 / 教会 / 聖歌隊 / 史料論 / 聖職者 / 西洋中世 / ルネサンス / 歴史学 |
研究概要 |
本研究は、北フランスのカンブレー大聖堂の聖歌隊を素材として、中世・ルネサンス時代における音楽家の社会的身分とその組織構造の解明を目指すものである。 今年度は、これまでの研究のまとめとして、上記の教会における音楽制度の総合的な考察を行った。まず予備的な考察として、近年の「音楽拠点」研究の動向を整理し、それらを評価しつつも前近代における音楽家身分のあり方という観点については、やや議論が不足している点を批判した。次に、カンブレー大聖堂の歴史や教会制度全般を概観し、参事会に由来する資料群を「史料論」的な視点を踏まえて整理した。 本論においては、まず教会参事会の音楽保護政策を検討した。そこには芸術の庇護者としてパトロンのあり方は存在しなかった。本来、礼拝(=成果の演奏)を司るべき参事会員が、その職務を下級聖職者に代行させていた事実が、教会の音楽保護政策を規定していたのである。次に、音楽家とみなされる各種の職務、すなわち「代理」「少年聖歌隊」そしてこれらを監督する「代理担当参事会員」が、職掌と在職者の伝記的情報から検討された。先行研究において、これらの諸身分は専ら「歌手」ないしは「音楽家」としてのみ扱われてきたが、本研究においては彼らが「聖職者」としての志向と「音楽家」としてのそれの間で揺れ動いていた点が指摘された。 結論においては、これらの成果を踏まえ、中世・ルネサンスにおける「聖歌隊」とは、近代的な意味での「職業的芸術家」の集団ではなく、雑多ながらも「共同体」というアイデンティティによってまとまっていた人間の集合であった点が強調された。なお、これらの成果は博士論文のかたちでなされた。
|