研究課題
特別研究員奨励費
ショウジョウバエの肢形成に関与する転写調節因子AlとCllは共同的にDNAに結合する。その分子機構の構造学的な基盤を解明するため、Al-Cll-DNA三者複合体の構造機能解析を行った。これらの転写調節因子の共同的なDNA結合に必要な最小領域の決定を行ったところ、Alのホメオドメイン領域およびCllのホメオドメイン領域とその上流14残基、下流6残基の領域が、共同的なDNA結合に必須であることが示された。この領域のCllが存在する条件では、AlホメオドメインのDNAに対する.解離定数(Kd)は、大きく低下することが明らかになった。Al-Cll-DNA三者複合体の立体構造をX線結晶構造解析によって決定した。得られた三者複合体の構造を詳細に解析することにより、AlとCllによる共同的なDNA結合機構に関与する構造上の特徴が明らかになった。一つ目はCllの保存領域の末端に位置する残基とAlホメオドメインとの間の二つの塩橋形成、二つ目は、AlとCllの共同的な作用によって引き起こされるDNAの構造変化である。一つ目の機構によって、タンパク質分子間に塩橋が形成され複合体の安定化がもたらされており、二つ目の機構によって、Clホメオドメイン上流領域によるDNAの minor groove側からの特徴的な塩基認識が可能となっていた。これらの特徴的な構造の形成に関与する残基のアラニン変異体を作成し、その重要性を評価した。その結果、どの変異体に関しても変異導入前のものと比較して三者複合体形成能が低下しており、AlとCllの共同的なDNA結合機構に重要な役割を果たしていることが明らかになった。以上の結果をふまえAlとCllの共同的な複合体形成は 1.AlがDNAに結合、 2.AlとCllが共同的に作用することにより、DNAの mirnor grooveを拡張 3.Clホメオドメイン上流領域がDNAと相互作用し、三者複合体を形成、 4.タンパク質分子間の塩橋形成による複合体の安定化、の4段階で起こると結論付けた。
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