研究課題/領域番号 |
06J11179
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
科学社会学・科学技術史
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯田 豊 東京大学, 大学院学際情報学府, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 科学技術コミュニケーション / 歴史社会学 / メディア論 / メディア史 / 無線雑誌 / テクスト共同体 / 儀礼的コミュニケーション / アマチュア |
研究概要 |
本研究では、19世紀末以降の日本における「アマチュア」の知識生産や実践活動を、文献調査にもとづいて歴史社会学的な視座から検討した。その成果は以下の三つに大別できる。 1.明治中期から昭和初期における電気工学、無線工学の書籍と雑誌を分析した。とりわけ、1891(明治24)年に日本で初めて市販された電気雑誌『電氣之友』(電友社)と、中産階級の増大を経て1924(大正15)年に創刊された『無線と実験』(無線実験社→誠文堂新光社)との比較を通じて、「アマチュア無線(素人無線)」という概念が誕生した機制を解明しつつある。 2.『CQ ham radio』、『トランジスタ技術』(いずれもCQ出版社)などの雑誌の分析を通じて、戦後におけるアマチュア無線の制度化の過程を検証した。 3.1980年代に創刊された『The Technical Writer』(アイディ)などを素材として、「テクニカル・ライティング」という概念に着目し、近年、科学者や技術者にとって「文書作業(literacy work)」の意味がどのように変化してきたのかを考察した。 アマチュア無線家のみならず、電気工学の専門家、電波行政の技術官僚、知識人、そして一般の大衆によって形成される無線雑誌のテクスト共同体は、専門家共同体の評価機構(ジャーナル共同体)とは性格の異なる、専門家と非専門家との交渉の場であったという点で、今でいう「科学技術コミュニケーション」の回路を志向していた。その可能性と限界を歴史社会学的に見通すための具体的な道筋を得たことが、昨年度における文献調査の成果である。 これまで明らかにしてきた歴史社会的背景を手掛かりとして、今日の日常生活に根ざした科学技術(とりわけメディア技術)とわれわれ人間との望ましい関係を積極的にデザインしていく公共空間、共同的な関係性のあり方について考察していくことが、今後の課題である。
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