研究課題
特別研究員奨励費
2007年から砂漠産月隕石Dhofar489とそのペア隕石の岩石鉱物研究により、月裏側地殻の鉱物分布の特定を進めてきた。その結果、アポロ試料からわかっている月表側地殻とは異なる鉱物分布及び組成を持つことを明らかにした。このデータをもとに、月表側裏側地殻組成の二分性モデルを発表し、月マグマオーシャンの結晶化二分性の結果地殻組成の二分性が生じたという仮説を提唱した。また、国立極地研の三澤啓司博士、海田博博士及び吉竹美和研究員との共同研究により、NWA4485の岩石鉱物特性の分析及びSHRIMPを用いたジルコン・バデリアイトのウラン鉛年代決定を行い、その結果を2009年3月の第40回月惑星科学会議で発表した。分析の結果、この隕石中に含まれるジルコン・バデリアイトの結晶化年代は43.5億年前から39.4億年前まで幅広い年代分布を示した。この年代は、マグマからの結晶化のみならず、その後の隕石衝突により同位体系列のリセットの双方の事象を記録したものだと考えられる。かぐや探査機に搭載された紫外・可視・近赤外波長域の反射スペクトルデータを用いて、月の全球地殻の鉱物分布を解析した結果、斜長石100%の純粋な斜長岩が深さ10-20kmにわたり存在することを突き止めた。この結果、月上部地殻組成はこれまで以上にアルミに富むこと、また全球マグマオーシャンから極めて純度の高い斜長岩が均質に結晶化したことを明らかした。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (10件)
地球化学 (掲載決定)
110009442261
Geophysical Research Letters 35
Meteoritics & Planetary Science 43