研究課題/領域番号 |
06J50412
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
中村 幸子 岐阜大学, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ニホンツキノワグマ / 栄養状態 / 繁殖 / レプチン |
研究概要 |
飼育下妊娠雌ニホンツキノワグマ(以下、クマ)において、秋の採餌供給量を減少させ、栄養状態を低下させた場合に、繁殖の成否および白色脂肪組織(WAT)より分泌されるレプチンの分泌量にどの様な影響を及ぼすのかを考察する実験を行った。 成熟雌グマ4頭を用い交尾期に自然交配させたが、うち1頭は交尾行動が確認されなかった。この交尾行動を示さなかった個体の血中プロジェステロン(P4)濃度は9月から11月末まで一貫して低値を示し、正常な生殖周期を示さなかった。したがって、この個体を除く3頭の結果を以下に記す。 10月20日より給餌量を通常の半量(約2200kcal)に、11月10日よりさらに半量(約1000kcal)に減量した。給餌減量以降、各個体において緩やかな体重の減少が確認された。体脂肪量は11月初旬に一旦減少したが、11月下には緩やかに上昇し、冬眠中は減少し続けた。血中レプチン濃度は、給餌量減少後もほぼ一定のレベルを保ち続け、冬眠開始後の12月に減少し、1月に上昇した。WATにおけるレプチンmRNA発現は、10月に有意な上昇があり、11月上旬には減少し、有意差はないが11月下旬に再度上昇が確認された。血中P4濃度は、これまでに報告されている妊娠グマと同様の血中動態を示し、1月の超音波診断では全3頭の妊娠が確認された。以上より、今回の採餌供給量の減少は体重および体脂肪量状態には若干の変化をもたらしたが、繁殖への影響はなかった。秋に採餌量の減少が生じても、体脂肪蓄積促進または体脂肪量を維持するメカニズムがあることが示唆された。今回の結果からは、レプチンの繁殖に関わる可能性は確認できなかったが、給餌量減少に伴う体重減少中にも血中レプチン濃度が保たれていることおよびレプチンmRNAの10月の有意な上昇と11月下旬の上昇(有意差なし)について、さらに検討を進める必要がある。
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