研究概要 |
複素射影空間のコンパクト極小実部分多様体について,Simons型の積分公式を用いて,リッチ曲率,断面曲率,スカラー曲率等に関する各種挟撃問題の研究を行った. 複素射影空間の実n次元コンパクト極小CR実部分多様体で,リッチ曲率がn-1以上であるものを分類した.この結果は,複素射影空間のコンパクト極小CR部分多様体のリッチ曲率に関する既知の挟撃定理の拡張である.また,この結果について,2007年8月にCzech Republicで開催された国際研究集会「DIFFERENTIAL GEOMETRY AND ITS APPLICATIONS」に出席し,報告を行った. さらに,複素射影空間のある種のコンパクトなA型実超曲面に対して,断面曲率の満たすべき不等式を得た.また,逆に断面曲率がこの不等式を満たすような複素射影空間のコンパクト極小実超曲面が上記の実超曲面に限ることを示した. 一方,複素空間形の実超曲面について,第二基本形式や各種曲率に対する正則分布上での条件が実超曲面の性質をどの程度決定するかを調べる問題を研究している.その一環として,主曲率が定数であるような複素空間形の実超曲面で,リッチテンソルが正則分布上でアインシュタインに対応する条件を満たすものを決定した.この結果は,複素空間形の擬アインシュタイン実超曲面のひとつの特徴付けになっている.
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