研究課題/領域番号 |
06J52232
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
数理物理・物性基礎
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
當山 清彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 強相関電子系 / 半導体2次元電子 / シリコン・シリコンゲルマニウム / ランダウ準位 / 強磁性 / 量子ホール効果 / 電荷密度波 / スピン密度波 / ウィグナー結晶 / サイクロトロン共鳴 / 金属絶縁体転移 |
研究概要 |
平成19年度は、強磁場中の半導体2次元電子が強い電子相関のために示す多彩な量子相転移の解明・探究を行った。 2次元電子は垂直に強磁場を印加されると、ランダウ準位と呼ばれる量子化したエネルギー準位を有するため、強相関効果を調べる上で格好の舞台である。さらに、異なるランダウ準位を交差させることで、2次元電子にどちらの準位を占有するかという擬スピン自由度を与えることができる。異なる擬スピン状態間の量子相転移は近年大変注目されてきた。本研究では世界最高レベルの移動度を誇るシリコン2次元電子を試料とし、低温・強磁場中にて準位交差時の磁気抵抗を系統的に測定した。 ランダウ準位が整数本だけ占有された状況では、十分低温において、強い面内異方性を持つ鋭い縦抵抗率ピークを観測した。同様の現象は新奇電子状態の可能性から注目されてきたものの、観測報告は1例のみであった。本研究で新たにヒステリシスを観測し、イジング型の擬スピン強磁性のために異なる擬スピン状態間の1次相転移が生じ、異方的形状を持つ擬スピンドメイン構造が強い面内異方性を誘起していることを示した。一方、擬スピンが常磁性を示すと考えられるような十分高温においては、磁気抵抗にダブルピーク構造という新奇な特徴を観測した。これは、擬スピン磁性と電気伝導の関係について新たな知見を与えることが期待できる発見である。 ランダウ準位の占有率が非整数の状況については、従来ランダウ準位交差の研究は少なかったが、本研究においては新奇電子状態の実現を期待して詳細に調べた。その結果、十分低温において、縦抵抗率ピークが減少し、同時にホール抵抗が特定の量子化値に大きく近づくという新たな現象を観測した。同現象は擬スピンが非偏極の新しい基底状態に起因することが期待できる。異なる擬スピンの電子がペアを組み、ペアの電荷密度波や超伝導が生じている可能性を検討中である。
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