研究課題/領域番号 |
06J52282
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
新領域法学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
澤田 悠紀 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2007年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 著作権法 / 著作者人格権 / フランス:イタリア:ドイツ:アメリカ / 原作品 / 文化政策 / 文化財保護法 / 芸術政策 / 破壊 / 著作権 / 人格権 / 芸術 / VARA / 文化財 |
研究概要 |
日本における著作権法の現在の通説からは、なぜ、著作物の「原作品」が改変されれば同一性保持権の侵害となるが、これが破壊されても侵害とならないのか、という疑問点から出発し、この点に関する各国の法を、文化財保護法をも視野に入れつつ研究した。 第一に、日本における「原作品」の扱いについて同一性保持権(著作権法20条)からの検討をおこなった。ここでは、近年の重要判例につき再検証をおこなうと同時に、著作権法の起草当時の資料に遡り、現在の日本における著作物概念の通説的見解の沿革とその特徴を明らかにした。 第二に、上記の点につき、ベルヌ条約に加盟する他の国々においてはどのような理解がなされてきたのか、ということを研究、また比較検討した。その結果、現在の日本における著作物概念の通説的見解は、ある時期のドイツにおいて主流であった概念を引き継ぐものであるものの、フランスやイタリアをはじめとする欧州ラテン系の国々では従来これとは異なる概念がとられてきたことがうかがわれた。また、著作権法と文化財保護法とが密接に関連する法として捉えられているのも日本にはない特徴である。フランス語の「original(e)」「originalite」概念、またドイツ語における同じラテン語由来のOriginalitatとゲルマン語由来のEigentumlichkeitとの使い分けにみられる哲学的背景にも着目しつつ、これらの諸概念が日本著作権法においてどのように継承されたのかが比較検討の対象となった。また、これら大陸法系諸国に加え、近年のアメリカにおける立法・判例も主要な研究素材を提供した。 従来、著作物とその原作品との関係に焦点をあてた研究は日本ではなされてこなかったため、新しい視点からの研究であり、著作権法の解釈論において重要な意義を有する。
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