研究課題
特別研究員奨励費
平成19年度に最も力を入れた研究は、為替政策の輸出への影響についてである。産業内貿易の深化と為替変動が輸出数量に及ぼす影響との関係に関する研究は、単著論文"The Influence of Intra-Industry Trade on Export Sensitivity to Exchange Rates"と、共著論文"Trade Sensitivity to Exchange Rates in the Context of Intra-Industry Trade"として完成させた。この研究の補完的研究として、産業内貿易の高まりと為替変動が輸出価格に及ぼす影響との関係についての研究も進めている。近年、世界では貿易不均衡に対する議論が高まっている。通常は、輸出国の為替が強くなると、輸出量は減少すると考えられており、中国への元切り上げへの圧力が存在する。産業内貿易とは同じ分類の財の双方向取引であり、発展途上国の経済発展に伴い技術水準が先進諸国に近づくことにより、産業内貿易の役割はより重要となる。私の二つの研究は、製品差別化が進むほど製品間の代替の弾力性は小さくなり、同時に、産業内貿易は増加する、というモデル設定に基づく。この設定から、産業内貿易の度合いが高まるほど、輸出国の為替増価による輸出量の減少は緩やかになり、一方で、パススルーは高まることが予想できる。輸出国の為替増価に伴う輸出量の減少は、実証分析の結果、産業内貿易の度合いが高い時ほど緩やかになる、という結論を得た。パススルーに関しては、研究途中である。これらの研究の結果は、産業内貿易が盛んな状況下での、貿易不均衡の改善を目的とした為替政策に疑問を投げかけるものであると自負している。更には、貯蓄率に関する研究も進めているが、貿易不均衡の改善を考える上で、貯蓄率と内需の問題は切り離せないと考えている。
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IMF Working Paper
Hi-Stat Discussion Paper Series d07-222
ページ: 1-26
IMF Working Paper (印刷中)
IMF Regional Office for Asia and the Pacific Asia Update November 20, 2006
ページ: 1-5