研究課題/領域番号 |
06J53232
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
言語学
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
宮本 大輔 神奈川大学, 外国語学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2007年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 中国 / 大学生 / 言語意識 / 言語評価 / 言語政策 / 言語使用意識 |
研究概要 |
本研究は、中国人大学生の言語評価に関する研究である。調査対象地は北京・天津・上海・杭州の4都市、対象方言は普通話と主要方言、その他各調査地点の言語状況に合わせて幾つかの方言を設定した。評価語としては、「上品である」、「親近感を覚える」、「柔らかである」、「豪快である」、「細やかである」、「実用的である」、「美しい」、「かっこいい」、「好きである」という言語を評価する上で比較的イメージしやすいと思われる9項目を設定した。 その統計結果を通して、以下の傾向を得ることができた。(1)北方方言群が豪快で、南方方言群が繊細であるといった地域言語間におけるイメージのステレオタイプの実態が明らかになった。(2)全体的に見ると、普通話には実用性、母方言には親近感を強く覚える傾向にあるが、母方言に対する評価では、北方は上品さを感じないのに対し、南方では豪快さを感じないと言うことが明らかになった。(3)言語威信には、伝統文化による影響や地域の政治や経済による影響などといった多様な側面が含まれることが明らかになった。(4)上海語のイメージは北へ行くほど低くなる、或いは湖南語に対する評価は南北で分かれるといった言語評価における地域変容の実態が明らかになった。(5)各方言の中心地までの物理的距離と中国人大学生が各方言に対して持つ心理的距離の関係には、等距離関係、疎遠関係、親近関係の3タイプがあることが明らかになった。(6)中国人大学生の言語使用は、インフォーマルな場面ほど母方言の使用が多く、フォーマルな場面ほど普通話の使用が多くなり、そして、杭州の大学生の言語シフト状況は同じく考何地域に位置する上海よりも北方の北京、天津に近いことが明らかになった。(7)普通話が全調査地点において高い言語威信を維持している実態が判明し、それは中国政府が進める教育、マスコミ、行政における普通話普及政策がもたらした結果を反映したものと見ることができ、今後の中国における言語政策の行方を予測する上でも重要な意味を持つものと思われる。
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