研究課題/領域番号 |
07041018
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
櫻井 哲男 熊本大学, 文学部, 教授 (90110080)
桜井 哲男 熊本大学, 文学部, 教授
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研究分担者 |
石森 秀三 国立民族学博物館, 第4研究部, 助教授 (60099950)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1995年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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キーワード | 音楽 / 観光 / 伝統 / 東南アジア / 文化変化 / アイデンティティー |
研究概要 |
本研究の目的を達成するために、研究代表者櫻井哲男および研究分担者石森秀三は、計画どおりタイ、マレーシア、およびシンガポールにおいて現地調査を行った。 櫻井哲男はタイ、マレーシア、シンガポール三国を対象に、4回にわたり伝統音楽の観光化に関する調査研究を行った。タイにおける調査地はバンコクおよびチェンマイである。バンコクでは主としてTAT(タイ国政府観光局)から情報を得て、代表的なホテル、レストラン、遊園等の観光施設におけるカルチュラル・ショーを調査した。その内容にほぼ共通して見られるのは、タイ古典舞踊を観光用にアレンジしたもの、スティック・バトル(棒闘)、タイ・ボクシングの型の紹介、東北地方の民族舞踊の振りを取り入れた踊りなどであり、これらに付随する音楽も、それぞれの演目に従って古典的なものから民族的なものまで幅を持った演奏がなされる。踊り手や演奏者の主体が専業従事者ではなく、サイドビジネスないしアルバイトによって観光芸能が支えられていることも明らかになった。一方バンコクのウィテヤライ・ナ-タシン(国立音楽舞踊専門学校)で、タイの伝統的な音楽・舞踊の教育の実情と、それに携わる教師たちの、芸能の観光化に対する意識調査も行った。チェンマイではTATチェンマイ支局の情報に基づき、観光施設等において同様の調査を行った。ここではバンコクと対象的に音楽・芸能において地方色が前面に出され、特に山岳地帯に居住する少数民族のものを中心として観光芸能が構成されている点に特色がある。出演者のステイタスに関してはバンコクと同様である。 マレーシアにおける調査地はクアルンプルである。MATIC(マレーシア政府観光情報局)からの情報により、タイと同様の調査を行った。マレーシアの観光芸能は多民族国家であることを反映し、主要民族であるマレーの音楽舞踊の他、中国、インド、インドネシアなどアジア系諸民族のものが並列的に演じられる点が特徴的である。観光化した音楽・舞踊の担い手に関してはタイの場合とほぼ同様である。 シンガポールではTIC(政府観光情報センター)の情報により、市内で同様の調査を行った。タイ、マレーシアと異なり新興国家であるところから、音楽・舞踊において民族的な伝統がまだ確立されておらず、そのため観光芸能においても民族的アイデンティティーが比較的希薄であるが、マレー系の芸能に中核に新しい伝統を形成し、それを観光化しようという動きが見られた。 なお、以上の現地調査には研究協力者として櫻井笙子が同行した。 石森秀三は2回にわたり、マレーシアのサラワク州における伝統音楽の観光化に関する調査を重点的に実施した。1回目はサラワク州政府、サラワク州立博物館、MATICサラワク支局等の協力を得て、サラワク州におけるおける民族文化観光の拠点とされるサラワク・カルチュラル・ビレッジを中心に調査を行った。ここでは七つの民族文化が取り上げられて展示等がなされるとともに、各民族の伝統音楽や伝統芸能のカルチュラル・ショーも公演されている。2度目の調査では、サラワク州クチンにおける補足的調査とともに、シンガポール、ペナン、クアラルンプルにおいて広域的調査を行った。シンガポールではTICや観光関連施設、ペナンではペナン・カルチュラル・センター、クアラルンプルではMATICや近郊のマラッカにおける民族文化村のミニ・マレーで調査を実施した。 なお、石森秀三の2度目の現地調査には研究協力者として前田弘が同行した。
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