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中国北部の美術・考古学調査

研究課題

研究課題/領域番号 07041021
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関共立女子大学

研究代表者

谷一 尚  共立女子大学, 国際文化学部, 助教授 (20236681)

研究分担者 雷 潤澤  寧夏文化庁, 文物処, 処長
蘇 哲  北京大学, 考古系, 助教授
宿 白  北京大学, 考古系, 教授
濱崎 一志  滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教授 (00135534)
高橋 美久二  滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教授 (40275178)
前園 実知雄  奈良県立橿原考古学研究所, 資料調査室, 室長 (00250358)
茂木 雅博  茨城大学, 人文学部, 教授 (70134161)
菅谷 文則  滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (10275175)
LEI Runze  Director, Ningxia Pref.Office of Culture
SU Zhe  Ass.Prof., Beijing University
SU Bai  Prof., Beijing University
日高 薫  国立歴史民俗博物館, 情報資料研究部, 助手 (80230944)
研究期間 (年度) 1995 – 1996
研究課題ステータス 完了 (1996年度)
配分額 *注記
28,000千円 (直接経費: 28,000千円)
1996年度: 14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
1995年度: 14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
キーワード田弘墓 / 575年 / 彩色壁画 / 金箔ガラス珠 / 東ローマ金貨 / 史道洛墓 / 658年 / 六曲ガラス杯 / 墓主判明 / 極彩色壁画断片 / 東西交渉遺物 / 正倉院御物比較 / 高松塚四神図比較 / 法隆寺献納宝物比較 / 唐代墓制祭祀確認 / 古代ソグド人骨格確認
研究概要

初年度の1995年8月〜9月、本補助金により中国寧夏回族自治区固原県郷・小馬庄村において「日中聯合原州考古隊」を組織し、唐墓を発掘した。中国・国務院・国家文物局の正式許可を得た、合同発掘の戦後第1号となった。
墓葬の構造は、地下式土室墓で、過道・墓道・墓室には壁画があったが剥落してごく一部のみ残存。色としては金・銀・紅・緑・黄・白・黒が残る。墓門の木製扉も紅・緑・黄・白で彩色されていた。
出土した墓誌から、史道洛(65歳、655年歿)とその妻康氏(55歳、645年歿)の合葬墓で658年葬と判明。史も康もいわゆる昭武九姓の一つで、どちらも中央アジア出身のソグド人。史はキシュ(現シャフリシャブス)、康はサマルカンド出身者とされる。墓誌蓋周縁には四神図が刻されており、特に玄武の尾が後脚をくぐっているのは、高松塚古墳壁画と同様でその影響関係が注目される。遺物は正倉院御物と同形態の漆塗木櫃や、法隆寺献納宝物に類品のある漆塗竹厨子に入れて副葬されていた。東ローマのユスティヌスII世(565〜578年)金貨も出土したが、これは三途の川の渡し守に渡す古銭を死者の口に含ませる西方の習慣に基づくものと考えられる。他に極彩色の人面獣身・獣面獣身の鎮墓獣、武人俑各一対、木製馬俑、完器の白磁盤口壺など。ガラスも貴重な資料が出土した。外面各稜底に金属細板を貼付装飾したガラス製六曲小円杯は、器形的には、正倉院に八曲(金銅製)・十二曲(ガラス製)の長杯は存在するものの、六曲の円杯は珍しい。また、緑色透明薄手ガラスでラッパの開口部のようなものをつくり、中央の孔から金属線を通してその先端に水滴状のガラス珠などをはめ込んだ「ガラス花卉(かき)」も出土し、おおきな成果をあげることができた。
2年目の1996年5月〜7月、本補助金により、前年に引き続き中国寧夏回族自治区固原県において「中国聯合原州考古隊」を組織し、原州遺跡のうち北朝期墓域中の1墳墓を発掘。伴出した墓誌から北周の田弘墓と判明した。
墓葬の構造は、地下式土室墓で、墓室からは人物18体分の壁画が出土した。色彩は赤(朱)・白(石灰)・黒(墨)の3色。北周期の壁画の出土は、中国でも2例目。群像表現としては、中国初という貴重な出土例となった。
出土した墓誌から、「周書」「北史」など中国の史書にも記載されている、北周の柱国大将軍で大司空の田弘(65歳、575年歿)とその妻(妻の墓誌は失われており姓および歿年不明)の合葬墓で、575年葬と判明した。
出土遺物は、東ローマ金貨4点、玉器9点、人と馬の色彩俑10個体分、金箔または多色のガラス珠多数、陶器20点、金箔彩色雲母多数など。
このうち東ローマ金貨は、皇帝レオI世(457-474年)、ユスティヌスI世(518-527年)各1枚、ユスティニアヌスI世摂政期(527年)2枚の計4枚が出土。それぞれ2ないし4の小孔があけられており、衣服に縫いつけて埋葬されたものと考えられる。最も新しい金貨は、527年に東ローマ帝国領内で発行されたもので、これが575年に中国で埋葬された人物の墓から出土しているのであるから、その伝播年代差は最大で48年。西方の文物がかなり迅速に中国にもたらされたことを実証する貴重な出土例といえる。
また、金箔や多色のガラス珠は、6世紀後半のわが国の古墳から出土するものとほぼ同種のもので、当時の交流の実相を示す好例と考えられる。
昨年発掘した、唐・史道洛墓(658年葬)とあわせ、正倉院宝物・法隆寺献納宝物・高松塚古墳壁画(四神図)などわが国古代文化との関連や、東ローマ帝国などからの西方文化の中国流入の実態の一端を解明できる数々の遺物が出土し、大きな成果をあげることができた。

報告書

(3件)
  • 1996 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 1995 実績報告書
  • 研究成果

    (32件)

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  • [文献書誌] 谷一尚: "寧夏・賀蘭山岩刻画と中央アジア" 民族藝術. 12. 37-49 (1996)

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  • [文献書誌] 谷一尚: "中国出土の正倉院型切子ガラス碗" 古代文化. 48-8. 25-28 (1996)

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  • [文献書誌] 谷一尚: "突起ガラス括碗の出自と東方伝播" 友部直先生古稀記念論叢. 1. 49-60 (1997)

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  • [文献書誌] 谷一尚: "中国原州遺跡出土のガラス" CLASS-ガラス工芸学会誌-. 41(5月刊行予定). (1997)

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  • [文献書誌] 谷一尚: "東ローマ金貨の中国流入" オリエント. 40-2(9月刊行予定). (1997)

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  • [文献書誌] 谷一尚・工藤吉郎: "世界のとんぼ玉" 里文出版, 156 (1997)

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  • [文献書誌] 谷一尚: "中国ガラス史" 東信堂(7月刊行予定), (1997)

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  • [文献書誌] 谷一尚: "ガラスの考古学" 同成社(7月刊行予定), (1997)

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  • [文献書誌] 谷一尚: "中国のガラス珠" 瑠璃書房(11月刊行予定), (1997)

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  • [文献書誌] TANIICHI,Takashi: "ROCK ENGRAVINGS IN CHINA AND CENTRAL ASIA" ETHNO-ARTS. 12. 37-49 (1996)

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  • [文献書誌] TANIICHI,Takashi: "THE SHOSOIN TYPE CUT GLASS FOUND IN XIANYAN,CHINA" CULTURA ANTIQUA. 48-8. 25-28 (1996)

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  • [文献書誌] TANIICHI,Takashi: "EASTERN DIFFUSION OF GLASS VESSELS WITH ORNAMENTAL PROTRUTIONS" COLLECTED PAPERS FOR THE 70TH ANIVERSERY OF PROF.N.TOMOBE. 1. 49-60 (1997)

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  • [文献書誌] TANIICHI,Takashi: "GLASS FINDS EXCAVATED AT YUANZHOU IN CHINA" GLASS. 41 (IN PRINTING). (1997)

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  • [文献書誌] TANIICHI,Takashi: "BYZANTINE GOLD COINS EXCAVATED IN CHINA" ORIENT. 42-2 (IN PRINTING). (1997)

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  • [文献書誌] TANIICHI,Takashi & KUDO,Yoshiro: RIBUN SHUPPAN CO., LTD.GLASS BEADS IN THE WORLD, 156 (1997)

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  • [文献書誌] TANIICHI,Takashi: TOHSIN-DOH,CO., LTD.(IN PRINTING). HISTORY OF GLASS IN CHINA, (1997)

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  • [文献書誌] TANIICHI,Takashi: DOHSEI-SHA,CO., LTD.(IN PRINTING). GLASS ARCHAEOLOGY, (1997)

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  • [文献書誌] TANIICHI,Takashi: RURI-SHOBOH,CO., LTD.(IN PRINTING). CHINESE GLASS BEADS, (1997)

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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 谷一尚: "寧夏・賀蘭山岩刻画と中央アジア" 民族藝術. 12. 37-49 (1996)

    • 関連する報告書
      1996 実績報告書
  • [文献書誌] 谷一尚: "中国出土の正倉院型切子ガラス碗" 古代文化. 48-8. 25-28 (1996)

    • 関連する報告書
      1996 実績報告書
  • [文献書誌] 谷一尚: "突起ガラス括碗の出自と東方伝播" 友部直先生古希記念論叢. 49-60 (1997)

    • 関連する報告書
      1996 実績報告書
  • [文献書誌] 谷一尚: "中国原州遺跡出土のガラス" GLASS-ガラス工芸学会誌(5月刊行予定). 41. (1997)

    • 関連する報告書
      1996 実績報告書
  • [文献書誌] 谷一尚: "東ローマ金貨の中国流入(9月刊行予定)" オリエント. 40-2. (1997)

    • 関連する報告書
      1996 実績報告書
  • [文献書誌] 谷一尚・工藤吉郎: "世界のとんぼ玉" 里文出版(4月刊行予定), 156 (1997)

    • 関連する報告書
      1996 実績報告書
  • [文献書誌] 谷一尚: "中国ガラス史" 東信堂(7月刊行予定), 366 (1997)

    • 関連する報告書
      1996 実績報告書
  • [文献書誌] 谷一尚: "ガラスの考古学" 同成社(9月刊行予定), (1997)

    • 関連する報告書
      1996 実績報告書
  • [文献書誌] 谷一尚: "中国のガラス珠" 瑠璃書房(11月刊行予定), (1997)

    • 関連する報告書
      1996 実績報告書
  • [文献書誌] 谷一尚: "寧夏回原史道洛墓出土のガラス" GLASSーガラス工芸学会誌ー. 40(5月刊行予定). (1996)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] 谷一尚: "寧夏賀蘭山岩刻画と中央アジア" 民族藝術ー民族芸術学会ー. 12(4月刊行予定). (1996)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] 谷一尚: "中国ガラス史" 東信堂(7月刊行予定), 366 (1996)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] 谷一尚: "世界のビーズ・トンボ玉" 里文出版(9月刊行予定), 156 (1996)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] 谷一尚: "中国のガラス珠" 瑠璃書房(11月刊行予定), (1996)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書

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公開日: 1995-04-01   更新日: 2016-04-21  

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