研究分担者 |
大島 一二 東京農業大学, 農学部, 助教授 (40194138)
上田 信 立教大学, 文学部, 助教授 (90151802)
加藤 弘之 神戸大学, 経済学部, 教授 (70152741)
杜 進 東洋大学, 国際地域学部, 教授 (00207515)
中兼 和津次 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (80114958)
呉 柏均 華東理工大学, 工商経済学院, 副教授
張 楽天 華東理工大学, 文化研究所, 副教授
厳 善平 桃山学院大学, 経済学部, 助教授 (00248056)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1996年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1995年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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研究概要 |
1.本研究の主目的は,浙北平原の一養蚕農村(嘉興地区H市)を対象として,(1)1950年代以降の,農家,村(自然村,行政村),郷鎮,県レベルの統計・文献資料を系統的に収集すること(とくに村レベル以下の資料,たとえば村の会計帳簿,戸籍登録資料などに重点を置く),(2)それと同時に農家調査,基層幹部などへの聞き取り調査など独自の実地調査をも実施すること,(3)収集した資料を整理して包括的な地域経済データベースを構築し,その解析を通じて,中国農村経済社会の長期変動を多面的に明らかにすることにある。2.平成7〜9年度の研究活動を通じて,(1)1950年代初め〜90年代前半をカバーする農家経済データベースおよび(2)1960年代初め〜90年代前半をカバーする地域経済長期統計データベース,を学界で初めて整備することができた。また学界への成果公開を目的として,上海(平成8年度),東京(平成9年度,2回)において公開ワークショップを開催した。3.本研究から得られた主な知見は以下の通りである。(1)調査地においては多くの側面で市場経済化が進みつつあるが,市場化過程には農業集団化以前の伝統的市場関係が復活している側面と,集団農業時代の経済変革が今日に至って開花している側面が併存している。(2)他方で農業の主軸である養蚕はなお強い国家統制下にあり,また現在も維持されている土地の集団所有制度が調査地農村経済をその深部において規定している,(3)以上を要するに,中国農村地域経済を理解するためには,社会主義化以前の市場経済の経験と,集団農業時代以来の制度的連続性といういわば二重の伝統に注意を払うことが必要である。換言すれば,今日の中国農村は,統制と市場が併存する固有の制度環境に置かれており,この意味において中国における経済移行過程の漸進主義的性格が典型的に現れている。
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